2014.01.30 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
日本の農業は、経営規模が小さすぎることを除けば、世界的にも非常に恵まれている。本当かと疑う人も多いと思うが、以下の点ですばらしい。まず第一に、国土が縦に長く、寒冷地から亜熱帯地区まで有する。キャベツや白菜、レタス 、大根など主要な葉菜・根菜類は、国内産しかも露地で、産地のリレー栽培による周年供給が可能である。第二に、全土にわたって降雨量が一定以上あるため、水がないことによる旱魃(かんばつ)はまず起こらない。この2点とも満たす国は、そう多くない。自給率の低下を心配する人は多いが、日本という国は潜在的に自給が可能なのです。
しかし、それでも高品質なトマトや胡瓜などを冬春に国内で供給するためには、どうしても施設園芸が必要となる。トマトを冬場に収穫するためには、でき得る限りの光と一定以上の温度(当地方では夜間最低温度13℃が基本のようです)が必要となる。
こうした背景により、重油焚きの温風暖房機が普及した。トマトにおいて言うならば、1シーズン10a当たりの重油使用量は10kℓを超える場合がある。かつては、重油の価格は30円台/1ℓの時代もあった。それが今や、100円を超える勢いである。仮に、かつての重油価格と今の重油価格の差が70円とすれば、70円×10,000ℓ=70万円の経費負担増となる。先進農家にとっては、暖房費を節約する(設定温度を下げる)か、増収を目指すか、または撤退かの選択を迫られる。
当地方の多くの先進農家は、増収を目指し節約はしないという決断をした。その際に援軍となるのが、ヒートポンプである。重油とのハイブリッド(?)加温によって、暖房経費を少しでも少なくしようとする努力が続いている。弊社は、少しでもこうした農家を応援できる企業でありたいと思う。
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2013.12.26 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
今年も無事に下期勉強会を開催することができました。もともと弊社では、忘年会だけは会社スタ
ッフ全員が集まり、しかも飲酒運転の心配がないように(気兼ねなく思いきり飲めるように)と、泊まりがけで行なっていました。「ホテルに全員宿泊の忘年会なんて、結構贅沢ですね。」と言われることもありますが、我が社にとっては長年続く重要行事であり、全社フェイス ツウ フェイスの貴重な場ということで、私も大事にしています。とはいっても、現在のスタッフは約170名…これが200名を超えるようになると会場がなくなるでしょうから、もうぎりぎりです。また、せっかく忘年会で全員が集まるのだから、その前に「下期勉強会」を付けくわえようと数年前からこの形式になったのが、本当のところです。
しかし、今年の下期勉強会はいつもと違っていました。(株)デンソーさんとの農業支援ビジネス分野での提携発表、そして、中堅社員が中心となった5年・10年後の会社の方向性にスポットを当てた「未来プロジェクト」の中間発表がありました。会社は、確実に新しい階段を上がろうとしています。特に(株)デンソーさんとの取り組みは、単に相手が巨大企業というだけでなく、日本のものづくりの中核企業ということで、「販売業」をベースに仕組みが出来上がっている弊社にとっては、二重の意味で未知との遭遇です。教えてもらうことばかりですが、それに恥じることなく「夢」を熱く語り合うようになれば、モチベーションもアップします。正直、私の器のなさゆえですが、社員が本来持っている能力、ポテンシャル、成長志向を十分発揮できていない会社の現状があると認識しています。成長したいと思う人がグングン成長できる会社、年末に「今年は頑張ったなあ。」と一人一人が思えるような会社を、目指したいと思います。そんな会社を目指して、来年はいよいよ上記案件の実行の時、会社全員の力でよい年にしていく所存です。シェア:
2013.12.10 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
早、師走!そんな印象が特に強い1年です。今年の流行語大賞に「いつやるか?今でしょう」が選ばれましたが、弊社にもまさに「今でしょう!」があります。
12月3日、㈱デンソーさんの「農業支援ビジネス参入」プレス発表に同席させていただきました。多くの記者、TV局が参集されました。超優良大企業でありますが、自動車関連事業者と認識されている㈱デンソーさんが「農業ビジネス参入」という切り口は、メディアとしても新鮮だったのでしょう。当日夕方のTV、そして翌日の朝刊各紙で取り上げられました。
弊社は、㈱デンソーさんと共同で、施設園芸(当面はトマト対象)における生産性向上技術を網羅した「プロファームシステム」(商品名)の開発、販売に向けた一歩を踏み出しました。当面は、施設園芸トマト栽培における単位面積当たり生産性を、従来農法と比べ2~3倍にすることを目指します。そのために必要な設備投資を最小限に抑えながら、実用レベルで10a当たり40トン以上の収穫を目指します。
更に特筆すべきは、㈱デンソーさんならではの技術として、トヨタ生産システムにおける「カイゼン」を農作業現場に導入し、働く人の労働生産性を格段に向上させようと計画していることです。「カイゼン」という言葉は、深い思想と実践を意味するキーワードです。社長以下管理職は、常に「カイゼン」を志向し、組織に実行させる役目があると教えられました。常に生産性の向上とコストダウン、そして、お客様にとってより付加価値の高い商品を生み出すべく、「カイゼン」に夢中になる必要があります。現在の農作業現場において、規模拡大を目指す専業農家にとっては雇用労力の使い方も最重要課題です。農作業現場に「カイゼン」思想を持ち込むことは、大変価値があると確信しています。ITを駆使した、高品質でアイデアに満ちた機器、その上に適切な栽培指導、更に「カイゼン」が加われば、真に農家の皆様に役立つ商品になるのではないかと夢見ています。農業における「カイゼン」の取り組みはこれからですし、またそれをどうビジネスとするのか、今のところ答えは全くありませんが、とても楽しみだと思います。まさに「いつやるか?今でしょう」。シェア:
2013.10.31 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
心配された台風27号・28号の直撃は免れ、やれやれというところですが、過去には平成2年11月30日に和歌山に上陸し、東海地方の農業にも大きな被害を出した28号台風もありましたので、今年の異常な暖秋傾向の中では、まだまだ気の抜けない日々が続きます。
弊社は、10月23日(水)~25日(金)に東京ビックサイトで開催されたアグロ・イノベーション2013に、株式会社デンソー様と共同出展いたしました。
世界の施設園芸の先進地はオランダでありますが、オランダと日本では気候条件・地理条件などによる栽培環境も大きく異なり、ハウスの規模も10倍以上の開きがあります。日本においては、一部の企業経営を除けば土地の制約もあり、今後は10a~30a規模のハウスが主流と思われます。家族経営をベースとして、能力に応じてその数を増やし、必要に応じて雇用労力を活用するという流れが、最も経営の安全性を担保できると考えます。こうしたニーズを持つお客様に最も提案したいのが、株式会社デンソー様との共同開発による「Profarm」(プロファーム)です。プロファームは、単に高度な環境制御装置ということではなく、日本の施設園芸における最適な栽培環境を実現する一連のシステムであり、それは単位面積当たり収量のMAXを目指します。同時に、将来はトヨタ・デンソーの「カイゼン」思想を取り入れ、種蒔きから収穫に至るまでの作業性改善を通して労働生産性の向上を目指します。単位面積生産性×労働生産性のダブル効果により、国際競争力のアップと働く人の労働時間短縮を図ることができれば、日本の園芸農業は明るい未来を描くことができます。そんな夢の実現の一端でもお役に立ちたいとの想いで、しっかり育てたいと思います。今回のアグロ・イノベーション2013への出展は、やっとそのスタートラインに立てたということで、企画させていただきました。シェア:
2013.09.26 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
今年も秋本番となりました。春は桜の開花期が話題になりますが、秋は彼岸花の開花が気になります。桜は、年によって1週間以上開花期が異なる年があるのに対し、彼岸花は、ほぼ正確に秋分の日前後に咲きます。今年も無事、咲きました。少々大げさながら「マンジュシャゲ」とも言われ、やや不人気な花ですが、河辺に一面に咲く真っ赤な彼岸花を見ると、私は『まだ地球は狂ってない』と安心するのです。
話は変わり、冬トマトは、当社にとって最も重要な園芸品目です。近年は産地間競争も激しく、豊橋で面積を拡大している中、熊本(特に八代地区)では、今後100ha近く増設するという話も聞いています。熊本と愛知(東三河)の戦いの様相になっていますが、少し違うのは、熊本は規模(面積)の拡大を目指しているのに対し、豊橋・渥美は面積の拡大よりも単位収量のアップに力点を移しつつあるということです。所謂『統合環境制御技術』を駆使して、いかにしてMAXの収量を目指すかがテーマです。このように言うと、品質や高糖度も重要じゃないかと感じる方もいると思いますが、当社では、高収量技術=基礎技術、高糖度トマト=応用技術と考えています。従って、「トマトの生理を理解した高収量栽培技術を会得すれば、応用技術も容易くなる」という考えのもと、ひたすら高収量技術に結び付くハード・ソフトの開発に焦点を絞っています。
また、もう一つ重要なのは、施設園芸における労働生産性の向上です。先述の通り、作物の生理を理解して適切に管理すれば、余分な管理仕事も減ることになりますが、ここでは、作業環境及び工程の改善を通した労働生産性の向上のことを指します。
高収量技術と労働生産性の向上は、TPPにも負けない日本の施設園芸の将来のために、必ず必要となる条件です。
当社では、その取り組みのほんの一部でもお伝えしようと、下記の通り開催されます、アグロ・イノベーション2013に出展します。少しでも多くの方に見学いただければ、幸いです。シェア:
2013.09.04 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
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2013.08.02 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
暑中お見舞い申し上げます。
8月は弊社にとって最繁忙期、子供は夏休み、世間はお盆月でもありますが、多くの農家の皆さんにとっては種蒔きのシーズン。当地方でメインとなる冬場の収穫に向けて、最も重要な月となります。特に近年は、春作となるメロンやスイカの需要減と単価安で、秋作にますます比重がかかります。中心となる作物は、露地ではキャベツ、施設ではトマト。かつて、キャベツは3月採りまででしたが、今では2期作や5~6月採りも多くなってきました。トマトも、メロン等との輪作ではなく、周年栽培が多くなりました。それほど慌ただしい中でありますが、弊社では、5~10年後の会社の進むべき道を模索しながら、中堅社員を中心に「未来プロジェクト」を立ち上げ、新しいミッション・ビジョン・バリューを策定いたしました。これからは、その言葉に魂を吹き込み、お客様に見えるレベルまで行動基準に移していくことが目標です。しかしながら、はるか遠い道のりです。6月より、各部署を回りながら意見を聞き、思い当たったのは次の通りです。
今年の社長方針に、「和気あいあいよりも切磋琢磨」を掲げています。切磋琢磨するためには、会社としての具体的な指針(ベクトル)が必要なのですが、それが乏しい。ガムシャラに頑張るのと切磋琢磨とでは、かなり概念が違うということに、やっと気付き始めました。たまたま良い人材がいるからまあまあの会社を維持できるのではなく、会社方針の元、組織として真にお客様の役に立つ人材を数多く輩出できるようになりたいと願いますが、(たまたまできる)人に仕事をつけているに過ぎないと思い知らされました。個々人が自らの成長に喜びを感じて、お客様の評価をエネルギーの源に頑張れる社員を増やすことができれば、真に良い会社の扉が開くでしょう。まあまあの会社では、お客様の支持をいただけないのはもちろんのこと、本来モチベーションの高い社員のエネルギーを削ぐことにもなります。未来プロジェクトは始まったばかりですので、指揮官先頭の覚悟で、これからも努力いたします。シェア:
2013.06.28 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
さて最近、TPP加盟で日本農業の将来が心配という声が多くなりました。一般的な方の日本農業認識は①自給率(カロリーベース)が先進国の中で一番低い、②高齢化で10年後には担い手がいなくなる、③保護行政とJAが競争力を削いでいる、の3点が多いように感じます。本当にそうでしょうか?
農業は、大きく耕種部門と畜産部門に分類されます。耕種部門は穀類と園芸に分類され、穀類も稲作と稲作以外(小麦・大豆等)に区分けされる。日本の稲作は、生産過剰です。
園芸(野菜・花卉・果樹)は、カロリーベースではいくら頑張っても自給率の向上には役立たない。畜産は輸入飼料に頼っているので、頑張れば頑張るほど、却って自給率は低くなる。従って、自給率を高めるにはコメ以外の穀物、小麦・大豆の自給率を高める以外にないのですが、この事実に意外と気付いていない人が多いと感じる時があります。また、企業の農業参入はもっぱら園芸部門への参入ですが、実は園芸分野は今も産地間競争が熾烈で、産地の農家に言わせれば、企業の参入はあまりありがたくない存在です。また、野菜や花卉はTPPとは関係なくすでに無関税、自由競争に近い状態であるということも意外と認知されていない。
また、規模拡大を望む生産者から見れば、高齢化で競争相手が減ることは結構な話なのですが、残念ながら土地の流動化、集約が思うようにならない。施設園芸において土地及び労働生産性を高める余地は多いが、そのことがストレートに「植物工場」と言う概念に繋がるわけではない。企業が本当に自給率向上に役立とうとするならば、麦や大豆に参入すべきであるが、この分野は全く競争力がない。出口のない話のようですが、こと農業においてはメディアによるバイアス(屈折)が大きく、現場実態との乖離を感じる事が多い。真剣に農業に取り組む担い手の存在に、もっとフォーカスしていただきたいと思います。シェア:
2013.05.23 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
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2013.05.07 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
今年も、おかげさまで9名の新卒、2名の研修生を迎える事が出来ました。私が言うのも変ですが、当社のリクルートで学生側の意見を聞くと「和気あいあいとして暖かそうな雰囲気」とありがたい感想が返ってきます。「和気あいあいの社風」が、当社を選んだ決め手だと言う人もいます。私は今、敢えてその『社風』に風穴を開けようと、繰り返し社員に伝えています。「和気あいあい」は悪いことではないが、お客様には何の関係もない。大学のサークルなら良いかもしれないが、ビジネスの現場には不向き。和気あいあいのプロ野球チームが優勝できるとは思えない。「和気あいあい」は、一番遅れている人に合わせることになる。それでは、お客様に良いサービスはできない。
切磋琢磨!もっと良いサービスが出来るよう、頑張りたい。また、必死に努力している仲間を尊敬しつつも、ライバルと考える。切磋琢磨して、なれる自分の最高の自分になろうと日々努力している自分が好き、そんな気持ちで日々働くことができれば、お客様にもきっと良いサービスが出来るようになる。著名な小宮一慶先生の受け売りではありますが、「goodはgreatの敵」!そこそこ一人前になった、社会のこともそれなりに理解できるようになった、そこからが、本当の勝負です。そこそこ一人前から、一流人と言われるようになるまでには、血のにじむような努力が必要です。和気あいあいでは、その過程に耐えられません。自らの心に切磋琢磨する気持ちを忘れないようにすることが、大切です。一流人でなくとも、『自分がなれると信じる最高の自分の姿』を目指すことが、「切磋琢磨」の真の意味だと思います。シェア: