ブログ「社長のつぶやき」

2021.04.02 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

4月は新年度入り

 弊社の決算は4月末ですが、組織上は4月より新年度となります。異動を命じられた社員は4月1日新しい部署で迎えることになります。またなんと行ってもこの日は新入社員の入社式です。弊社の経営計画書には「人材採用は、新卒採用を基本とする」と明記されています。今年もお陰様で7名(男4名 女3名)の新卒を迎えることができました。ありがたいことです。新卒採用のおかげで法人たるトヨタネは年を取らず、かつ新陳代謝が活発になります。その効用と「文化」は会社にとってかけがえのない資産です。毎年新卒採用ができる会社というコンセプトそのものが会社の最重要なテーマです。
入社式後毎年社長から新入社員に対して1時間の講義が設定されています。総務から与えられるテーマは「経営計画書」による経営の説明なのですが、今年は大きく脱線して、トヨタネに入社した以上知っていただきたいテーマを3つ上げました。

種苗法の改正と4月1日施行について
 日本農業の歴史において農家の自家採種(自家増殖権)は自明の権利あるいは風潮が根強い中、登録された品種(工業で言えば特許を取得した製品や技術)においては、育成者権の保護強化を法律上で明記したということです。国としても優れた品種は知的財産という認識のもと、海外を含んで無断で増殖される状況に少しでも網をかけたいという意志の表れであります。

ゲノム編集について
 遺伝子組み換え技術による食品は欧州同様日本でも抵抗感が強い。一方米国・中国等は積極導入、市場での抵抗感も少ない。今後更に技術開発が進むと予測される(結果として日本・欧州は遅れる)。一方ゲノム編集技術は国民に理解してもらいたいという気持ちが強い(欧州はゲノム編集も遺伝子組み換え同様拒否反応が強いようです)。ゲノム編集は特定の遺伝子をカットする技術、言わば人工的に突然変異を作出するようなもの。本人が明記しない限り、後からゲノム編集技術を使ったかどうかはわからない。今後ゲノム編集を利用した商品は相当出回ることが予想される。

SDGsの取り組みについて(狭くは地球温暖化防止への取り組み)
日本も菅首相が2050年までにカーボンニュートラルを目指すと国会で演説した。農林省においても2050年までに農業分野のカーボンニュートラル(またはゼロ・エミッション)を目指すという方向を打ち出した。同時に「有機農業の推進」に大きくかじを切った。この方針を踏まえ会社としても商品開発・選択の際の重要なポイントと受け取らなくてはならない。また同時に社内におけるSDGsの取り組み強化が大きなテーマとなる。

以上3点がトヨタネ入社にあたって大まかな知識を持ってもらいたい時事問題であると話させていただきました。

2021.03.03 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

パンデミックと農業の行方

 2021年3月を迎え、昨年来の新型コロナウイルスによる『パンデミック』に変化が出てきました。
近畿・東海・福岡の緊急事態宣言は解除され、関東圏はまだ(3月1日時点)微妙な情勢ですが緩和の方向に向かっています。
3月・4月は花見・入学や卒業、新年度入りに伴う人の移動が活発な時期であり、再拡大の可能性も危惧されています。一方遅ればせながらワクチン接種が始まり、一部の先進国では今夏まで、日本においては年末までには?希望者への接種が実現しそうです。克服に向けて、あるいは「with corona」時代に向けて明るい方向に向かっていると信じたいです。

 しかし農業関係においては、相反するような報道が多く、それを受け取る人によって随分印象が変わります。農業現場の実感として、今年の秋冬野菜市況は総じて安値、過剰生産気味で卸価格は低位に張り付いたままです。また稲作においては2020年産が相当余りそうな情勢の中、2021年の主要産地の食料米作付意欲は落ちておらず、本年度豊作が続くとしたら、生産過剰による米価の更なる暴落が懸念されます。我々の身近な悩みは安値市況であり、生産過剰問題です。

 しかし日本経済新聞2月28日号の農業関連記事は「出稼ぎ減で人手不足 食品6年半ぶり高騰 移動制限 農業生産に影』という見出しが踊っていました。平たく言えば、農業労働力の国際的移動制限による生産力減衰と、増加を続ける輸入農産物の価格高騰や移動制限が将来の食料供給に「影」を落としていると言う内容です。
また一方、国を上げて農業の大規模化を進め、今や「スマート農業」が農政のキーワードのように謳われていますが、直近のプレジデントオンラインに「日本の農業に必要なのは大規模化という発想は根本的に間違っている」と言う記事が載りました。埼玉大学大学院宮崎准教授によれば「政府は農業の大規模化を進めようとしているが、間違っている。ほとんどの農家は、規模を拡大してもコストを削減できない」と言う。
このことは実感として私にも少し理解できる。規模を拡大しても、設備投資や雇用コストの増大等で必ずしも生産コストが下がらない現場をよく見るからです。
また仮に下がったとしても、市況価格の下げのほうが大きいケースも多い。
またアメリカやオランダ並みの大規模農場を前提とした機械やIT設備の開発が進まない上に(マーケットが小さすぎる)、田畑の単位面積が小さく、かつ四季の変化が大きい我が国においてすべてを解決するような画期的な発明は中々でないのが現状です。
「地域を支えるのは小規模な家族単位の農家」というのは全くその通りであると思うが、農家の事業継承・世代継承は、中小企業の事業継承問題よりもさらに複雑で難しい。
今うまく回転している農家においても10年後は不安だらけ。自然災害は言うに及ばず、一人欠けたら、また病気になったら、更に安値になったらと心配は尽きない。

 今回の新型コロナウイルス騒動によって農業の世界にも様々な地殻変動が起きそうであり、議論は左右上下、振れ幅が激しくなっていると感じるこの頃です。
日本においてもいや全世界においても農業・食糧問題への関心は非常に高まっていると感じます。
そのことが将来の農業及び農業者にとって福音であることを願っています。
川西裕康


2021.02.06 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

カーボンニュートラルと施設園芸

 2020年10月26日首相として初めて迎える国会での所信表明において菅首相は2050年までに「カーボンニュートラル」を目指すと表明した。新型コロナウイルス対策の遅れや、数々の政治スキャンダル、菅さん自身の抑揚のない演説故か、あまり注目されなかったように見えるが、驚くべき画期的な決意表明だと思いました。
その方針は欧州を中心に歓迎、大いに評価されている。

 日本の部門別温室効果ガス排出量を調べると、農林水産業からの排出は5,060万トンで全体の3.9%。最大の発生源は燃料燃焼によるCO2(1,700万トン)、稲作や家畜消化管内発酵に伴うメタン(2,120万トン)となっている(農林省データ2016年)。正直想像よりも少ないという印象です。
というのも我々のビジネス上のパートナーは主に「施設園芸」であり、その多くは加温装置のある園芸農家だからです。従って私どもの関心は上記の国家方針に「施設園芸」も影響を受けるのかどうかです。日本は縦長の国土で寒冷地から亜熱帯地まであります。このことは四季を問わず同一作物を供給するには大変有利であり、日本国民は時季を問わず主要野菜をスーパー等で購入することができる。
それでも冬期に新鮮な野菜や花卉を生産するためには加温装置(主に重油焚き加温機)が必要となる。「施設園芸」は年間通して新鮮な農産物を供給する上で、極めて重要な役割を担っています。ただ恐らく農業から縁遠い都会の、しかも環境意識が高い消費者に、実はこの野菜にはこのくらいの重油が使われているのですよと言えば、相当びっくりするのではないかと思います。カーボンニュートラル政策が今後の園芸農業にメスを加えるのかどうか注意深いく観察する必要があります。現場ではヒートポンプ(電気)や木質チップ暖房機、バイオマス起源の暖房装置等も開発されていますが、どれも利点・欠点があり、メジャーな存在にはなっていません。

 今後地球温暖化が差し迫った人類存続の危機であるという認識がより多くの人に広まれば、露地ないし無加温ハウスでできる「旬」の野菜で我慢すべき、作れない時季は保存食や加工食品を中心とすれば良いのではという世論がメジャーになる可能性も視野にいれるべきと少し心配しています。
しかし一方農林漁業分野においては、太陽光発電は言うまでもなく、風力、バイオマス、潮力、小型水力発電等をうまくミックスして活用できるようにすれば、他の産業に比べてはるかにエネルギーの自給は可能だとも思います。弊社としても将来のカーボンニュートラルを前提としながらも一年中新鮮な農産物を供給するという課題に対する産業革新に少しでも貢献できる会社でありたいと念願しています。
川西裕康

2021.01.06 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

2020年の3つの出来事

謹賀新年 新しい年が始まりました。
しかし新型コロナウイルスによる社会混乱は年を越えても衰えることなく、益々猛威を増しており、不気味な情勢です(2021年1月5日現在)。
2020年に始まった新型コロナウイルス禍は今後歴史の教科書に載ることは間違いありません。

パンデミックによる死者数が第1義的な記載事項でしょうが、それ以上に「ICTの進展」と「貧富の格差拡大」という点において歴史上の特異点として記憶されるのではないかと想像しています。もはや2020年1月までの世界に戻ることはできないでしょう。

村上春樹さんの「1Q84」ではないが、2020のつもりが「2Q20」の世界にワープしてしまったのかもしれません。個人的にはもとの2020に戻りたい。デジタルよりもアナログ、ソーシャルディスタンスよりも温もりです。

 そんな中、園芸種苗業界においても特質すべきことが3つ有りました。

 一つは野菜種子の90%以上が海外採種と言われる中、種子の安定供給ができなくなるのではないかと心配されたことです。驚いたことに種苗メーカーよりも使用する側の農家が真剣に心配したようです。海外の採種圃場を視察できない、指導できない、種子の輸入が滞るのではないかという思いからでしょう。
しかしこれは杞憂に終わりました。種子生産及び流通のネットワークがいかに世界中の関係者の相互信頼関係に支えられているかを証明しました。

 2つ目は筑波大学の江面教授によってゲノム編集技術を利用した高GABAトマトの開発・実用化が発表されたことです。
遺伝子組換は厳重な「審査」が必要な上、日本の消費者からはほぼ拒否された感があります。
しかしゲノム編集は基本的に「届け出」で市場流通が可能です。

2021年以降このゲノム編集食品 高GABAトマト(品種名 シシリアンリュージュ ハイギャバ)を消費者が受け入れるかどうかの社会実験に大きく国が舵を切ったということです。
ゲノム編集食品であることはあえて表示義務はなく、かつ開発者自身が公表しなければ、ゲノム編集の痕跡を後から調査検証することは不可能であると言われています。

あえて大々的にメディア発表したのは、国が国民に「ゲノム編集食品」を受け入れてほしいという明確なメッセージです。

 3つ目は2020年12月2日参議院本会議において「種苗法の一部を改正する法律」が可決成立したことです。これは原理的に言えば、人工的に改変(品種改良された)され、特有の特性を有することが確認され、かつ国家によって品種登録を認可された品種については、その自己増殖権よりも育成者権を優先させるということです。

特に栄養繁殖で増殖できる植物の海外での無断増殖を抑制する法的根拠を持ったというところに意義があります。やや思想的・あるいは情緒的な反対論も予想されましたが、無事成立、本年4月の施行を待つ段階となりました。

以上3つの事実はコロナ禍の最中ではありますが、2020という年は業界にとっても大きな変化の年となりました。

本年もどうかよろしくお願い申し上げます。
川西裕康

2020.12.08 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

2020年は特別な年

 2020年(令和2年)が終わろうとしていますが、新型コロナウイルス(COVID19)によるパンデミックはまだまだ続きそうです。青山学院大が箱根駅伝を大会新記録で制した時、東京オリンピックの延期も春夏高校野球の中止も誰も予想しなかったでしょう。
大相撲1月場所でトランプ大統領が観戦する中、幕尻の「徳勝龍」が優勝し、安倍首相がバンカーでころんだ映像が世界に配信されたのが異変のシグナルだったのでしょうか? 
3月には世界中で感染が爆発し、日本でも4月には緊急事態宣言が発令され、一人当たりGDPも韓国に抜かれそうとの報道もありましたが、その後なぜか株価は上昇した。

 2020年という年はこれから50年後、100年後歴史の中でどう評価されるのか、全くわかりません。「未来が早くやってきた」という識者もいますが、コロナ禍が収束しても、コロナ以前の経済社会に戻るとは思えません。100%以上の復活を遂げる、あるいは変革の波に乗れる業種もあるでしょうが、70%未満のままで推移しそうな業種もあるでしょう。
また若い世代の心の変容はいかなるものか、私にはほとんどわかりません。

 日本農業の未来に対するコロナ禍のインパクトもいまだ未知数です。短期的には需要が激減し、価格が暴落した品目も多い中、農業者一人ひとりがどう現実を捉え、どう未来に向かって対処すべきか、専業で頑張ろうとしている人ほど悩みは深いでしょう。いや現時点でも先は見えていません。短期的には食糧危機どころか、生産過剰による暴落のほうが現実的です。

 AI革命やICTの進展・仮想現実が加速度をつけて進展する中、今回のパンデミックが人類の未来にとって「神の手」であることを信じたいと思います。1986年ワールドカップサッカーにおけるマラドーナの「神の手」は、正しかったのかどうか、そもそも正しいか否かの議論の対象になるのかどうかさえ不明です。2020年のパンデミックが人類の未来に前向きな光を与えたといつか思われるようなら、それは正しい「神の手」だったと言えるでしょう。

 もっぱら農業をビジネスの対象とさせていただいている弊社においても厳しい現実がありますが、未来産業としての農業に役立てるようこれからも努力したいと念じています。
2021年もどうかよろしくお願い申し上げます。

川西裕康

2020.11.12 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

日本農業のパラドックス

 今年は昨年よりも寒い冬になるのではないかと予感しています。
職業柄この時期になると気になるのは、露地野菜ではキャベツ・白菜・レタス・ブロッコリーの相場、施設野菜ではトマト・胡瓜・妻もの野菜、そして花卉ではバラと菊の相場です。
異常気象で価格が暴騰すれば全国ニュースでよく話題となりますが、安値の場合はニュースになりません。
我々のように農業者側に立って仕事をする者にとっては、品不足よりも豊作による暴落懸念が最大の関心事です。

 稲作農家はさらに大変です。本年度食料米は大量に余る見込みであり、2021年は初めて生産量の目安が700万トンを割りました(政府発表693万トン)。
今年よりもさらに30万トン以上減産し、適切な政策保護がなければ暴落必至です。
一人当たりお米の消費量はおそらく直近では50kg/年を切っているのではないかと思われます。
1962年一人当たり117kgだったそうですから、1/2以下、しかも小麦の消費量は一人当たり30kg代ですが、パンや麺に加工されるため、一人当たりの消費金額は小麦由来がお米を断然上回っています。稲作に絞れば食糧危機どころか有り余って仕方がないと言うのが実情です。

 しかし一方で国レベルの議論としては、食料自給率37%は先進国中最低、担い手不足と農家の高齢化、遊休農地の拡大等によって、日本農業は壊滅に向かって進んでいるかのような論調が主流です。
大局的には当たっている点もあるでしょうし、世界人口が増え続ける中で食料ナショナリズムも強くなるだろうと予想されます。国民が等しく自国農業の維持発展を支持していただけるのはありがたいですが、農業現場にいる人達の実感としては過剰生産への危惧、結果として農産物価格の暴落が最大の関心事です。現場はさらなる安値に備え、生産性の向上とコストダウンに必至です。

 農業と縁の薄い都市住民の多くは将来の日本農業衰退を心配しながらも、日本の食料品価格は国際的には相当割高であると認識しています。しかし農業現場はいつも過剰生産と価格の暴落を心配しています。
これはまさに「日本農業のパラドックス」ではないでしょうか。今年の冬は新型コロナウイルスの再拡大が心配される中、双方が納得できるような価格で美味しい野菜や果実が安定的に生産供給されることを願っています。

川西裕康

2020.10.13 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

未来が早く来た?

 本年1月以来の新型コロナウイルス禍による甚大な影響はまだ収まっていません。
特に法人組織における行動規制が緩まない現状では、業種によって壊滅的被害が継続、かつ終わりの見えないことが大きなダメージとなっています。「Post Corona」は当面ないでしょうから「With Corona」のあり方の合意が急務となっています。

  昨年までの私にとってTV会議、テレワークなどは敢えて言えば論外と思っていました。アナログ大好き昭和世代頑固親父を自負と言うと格好つけすぎですが、要は人との接触にデジタルは面倒くさい、あり得ないと思っていました。もちろん会社組織人としてITの推進は絶対必要と考えていますが、個人の領域では私のITはここまでと勝手に決めていた節があります。そんな個人の勝手な価値観に平手打ち(業種に依っては致命的なアッパーカット)を食わしたのがこの新型コロナウイルスです。

 2018年に日本でも経産省がDX(デジタルトランスフォーメーション)を定義し、厚労省を始めとして国を挙げて働き方改革を推進する中で発生した新型コロナウイルス禍は、神様の予定表に載っていたのでないかとさえ思います。新世代通信規格5Gは通信の遅延をほぼなくし、AI、特に画像認識AI技術の進展との連携は遠隔操作・自動運転等驚くべき産業革命を予感させます。

 ソーシャルディスタンスという言葉には抵抗感がありますが、まさにそれを可能にする技術が新型コロナウイルス禍によって加速されそうです。そういう私もZOOM等での会議にも慣れ、これからも2回に1回は遠隔会議で十分だと思うようになりました。

 新幹線にとっては大打撃でしょう。コロナ前に戻る業種もあるでしょうが、全く戻らない業種もありそうですし、戻ったとしても60~70%位の戻り率しか期待できない産業も多く出るでしょう。また「小さすぎる中小企業の数が多すぎることが日本の一人あたりGDP増加の最大の阻害要因」というデービッド・アトキンソン氏(小西美術工藝社社長 元大手証券会社アナリスト)の主張は残念ながら?当たっていると思われます。

 後継者不在問題も絡みながら中小企業の再編は容赦なく進む予感がします。
どれもこれも新型コロナウイルス禍によって「未来が予定していたよりも早くやってきた」結果のように感じられます。
川西裕康

2020.09.02 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

2020年はラッキーイヤー?

 2020年8月28日安倍首相が持病の潰瘍性大腸炎の悪化で退陣を表明しました。
8年近くの長期政権で「アベノミクス」と「アベノマスク」は有名語になりましたが、安倍政権が主導した『攻めの農政』はあまりスポットが当たらなかった。
しかし農政と言えば米価対策だった時代から「園芸農業」なかでも「高度施設園芸」に力を注いでくれた点は、大いに評価したい。

 その翌日白血病治療のため実戦から離れていた池江璃花子選手が東京都特別大会の50m自由形に出場し、目標としていた標準記録を突破、秋のインカレ出場権を得たとのニュースには日本中が感動しました。病気悪化による痛恨の退陣と重病からの復帰、歴史の偶然なのか私はこのコントラストに色々考えさせられました。

 池江さんが長く苦しい入院生活から退院を果たしたとき、自らのSNSでこう語ったそうです。「一部略 オリンピックを目前に控えていた中、突然大好きなプールを離れ、失ったものが多いのではと思った方もいらっしゃると思いますが、私は病気になったからこそ分かること、考えさせられること、学んだことが本当にたくさんありました。ネガティブになる時もありましたが、まずは自分の気持ちをしっかり持たないといけないんだと思い、治療に励みました。」 

 この言葉を聞いたとき、マイケル・J・フォックスがラッキーマンという本の中で書いた名言「本当に大切なものを、僕は病気のおかげで手に入れた。だから、僕は自分をラッキーマンだと思うのだ。」を思い出しました。マイケル・J・フォックスと言えば映画「バック・ツゥ・ザ・フューチャー」でスターダムの頂点を極めたハリウッドスター。しかし30歳の若さでパーキンソン病に侵され、その治療の苦しみの中で書いた本が「ラッキーマン」でした。

 2020年は輝ける東京オリンピックイヤーとなるはずでしたが、春先からの世界的な新型コロナウイルス禍の蔓延により、人類の殆どがかつて経験したことがないような試練と向き合っています。第2次世界大戦以来の苦境と言われるのですから正にその通りです。ただ良いこともままあります。地球温暖化のスピードは相当スローダウンしているようです。ステイホームの生活の中で人々は「哲学者」となり、アフターコロナの生き方について、あれこれ考えたはずです。

 これから10年・20年、あるいは50年後、2020年という年は人類にとっても地球にとっても「ラッキーイヤー」だったと言えるようになると良いですね。

川西裕康

2020.08.27 [ 社長のつぶやき | トヨタネ通信「瓦版」 ]

トヨタネ瓦版8月 (47号)

こんにちは
トヨタネ瓦版8月(47号)を掲載しましたのでご覧ください。
添付:トヨタネ瓦版8月(47号)PDF

トップ画像に関係する画像

編集後記に関係する当時の記事
出典:中部日本新聞(中日新聞)、東愛知新聞
当時の記事

2020.08.05 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

私にとっての地球環境問題の変遷

 今年も暑い夏がやってきました。
会社も種・野菜苗の生産販売の最盛期です。
猛暑期と最繁忙期が重なるこの季節は心配の「種」が尽きません。
おまけに新型コロナウイルス第2波が予想より早く到来、感染防止と熱中症対策の間で例年以上にストレスが貯まる毎日です。

 少し話題が現実からそれますが、この新型コロナウイルスによるパンデミックは地球環境問題にどのような影響を与えるのか今のところ見通せません。最悪のシナリオは感染症問題が今後も次々起こり、地球環境問題は2の次、国家も企業も理念の上でも財政的にも関心が薄れ、予算を割く余裕もなくなることです。それとも更なる過酷なパンデミック自体によって地球環境問題自体が消滅・・・これは今を生きる我々にとって最悪のシナリオです。

 1957年生まれの私にとって、1960年代の環境問題は公害問題でした。
「水俣病」「四日市喘息」「イタイイタイ病」、毎日ニュースで流されるベトナム戦争の映像と水俣病の映像が焼き付いています。ドブ水のような身近な河川の存在はリアルな問題でした。また枯葉作戦に象徴されるベトナム戦争そのものも地球環境問題でした。

 1972年ローマクラブが「成長の限界」を発表し、化石燃料の枯渇を警告しました。
翌1973年第4次中東戦争が勃発し、トイレットペーパー騒動が起きました。このまま石油を使い続ければ20世紀中に石油は枯渇すると言われました。後から知ったことですがこの1972年国連による初めての地球環境会議が開かれ、ストックホルム宣言が採択されました。
「ONLY ONE EARTH」(かけがえのない地球)が標語となりました。
当時左巻きだった私にとって車社会の伸展は敵(人類の未来にとって悪いこと)でした。車に憧れる同世代は無責任ではないかと自暴自棄な気分になったときもあります。一方原子力は化石燃料に代わる夢のテクノロジーと信じていました。70年代から80年代の環境問題は化石燃料の枯渇、及び地球資源の有限と人口爆発問題でした。

 ところが1990年代になると、新たな油田も次々発掘され、化石燃料の寿命も21世紀後半まで持ちそうだという話になりました。1990年代の主な地球環境問題は「オゾン層破壊問題」となりました。そのような時代に国連主催でリオデジャネイロで開かれた地球サミットでの標語「SUSTAINABLE DEVELOPMENT](持続可能は発展)には心を動かされました。

 この理念が本当に実現可能であれば正に人類社会は持続可能と楽天的に考えました。ゼロ・エミッション社会という言葉も提唱されました。しかしその後21世紀を迎えると地球環境問題は二酸化炭素(CO2)排出量増加による地球温暖化問題に収斂されつつあります。オゾン層破壊の問題はどこに行ったのだろうと思う程です。そして2015年の国連会議後提唱されている「SDGs」の標語、あるいはレインボーのようなデザインは、1992年のリオでの熱狂の焼き回しではないかと思ってしまいます。そして今年2020年の新型コロナウイルスによるパンデミック。地球温暖化と未知の感染症によるパンデミックは連動しながら、今後次々未知の現象が人類社会に起きるのではないかと恐れられています。

 未来について悲観的な見方となりましたが、その中でも食糧生産を担う農業の役割はますます重要になると自負しています。人口爆発は90億人前後で収斂するというのが私の見方ですが、安定的な食糧生産は唯一「持続可能」な人類資産であると考えます。農業の未来に少しでも役立てばと思っています。

川西裕康