本年3月頃は、6月になれば新型コロナウイルス禍も収束するだろうと楽観的な期待を抱いていましたが、未だ世界への蔓延は拡大途中であります。何よりも我々一人一人が程度の差こそあれ、コロナウイルスの恐怖心を脳の深い部分にインプットされたような気がします。
弊社が関わる農業分野も悲喜交々です。一口に農業と言っても大きな括りとして「穀物」・「園芸」・「畜産」があります。「穀物」分野は、食の源、国民のカロリー源ですので被害は比較的軽微だと思われます。「畜産」は和牛や給食向け牛乳生産等で大きな被害がありました。さて弊社が主に関わる「園芸」分野はどうでしょう? ジャンルによって被害に大きな差がありました。
「花卉」園芸は、冠婚葬祭と大きく関わりがあり、葬式もまともに出来ない、結婚式他祝宴もほとんど中止となる中で、需要が激減しました。また都会では花屋さん自体も長期の休業を強いられる事態となり、売りたくとも売れない現実が続きました。また豊橋を中心に東三河で盛んな「つまもの」園芸も甚大な被害を受けています。「つまもの」は和食を中心とする外食産業においては必需品ですが、家庭消費において買うという人は少ないと言わざるをえません。
どちらも高度施設園芸の産物であり、初期資本とランニングコストが高い分野だけに行政支援は必須です。「野菜」園芸については、影響はあるものの上記2分野と比べれば比較被害は少ないと言えるでしょう。ただ学校牛乳と同様に特定契約の野菜生産者においては大きな損害があったと聞いています。またどの分野においても外国人研修生の「帰国」も「新規受入」もままならぬ状況で、働き手不足はこれからいよいよ顕著になる気配です。
少しだけ明るい話題としては、世界中がほぼ「鎖国」状態の中、国内農業の重要性と国産生産物の価値を多くの人が感じていただいていることです。ステイホームがスローガンとして広報される中、多くの国民のせめての楽しみと気分転換は馴染みのスーパー等で新鮮野菜や魚・お肉を購入することだったように見受けられます。まだ少数ではありますが、新鮮で可憐な国産の花を買って、家庭にうるおいをと思っている人も増えたと聞きます。また家庭菜園やガーデニングは、このコロナ禍故にか?静かなブームとなっているように感じます。
生協さん等、あてが外れた業務用農産物に対して生産者を守ろうとの立場で各地で買い支えてくれたという話も聞きます。
弊社の業務も夏が本番です。特に秋冬野菜の生産は、夏場の種まき・育苗から始まります。
多くの生産者が今年の冬はどうなるのか全く予測がつかない中で、とにかく生産をスタートさせます。弊社も良い年になることを願い、多くの生産者に寄り添って夏の繁忙期にお役に立ちたいと思っています。
川西裕康