やっと政府は米価高騰の真の原因は「需給ギャップ」の拡大であることを認めた。私の「仮説」は正しかったと確信できました。国(主に農林水産省)は、お米を含む農産物の不足よりも作りすぎによる暴落を心配していた。そもそもこの感覚が国民目線(主に都会の消費者)とはかけ離れている。消費者は農業の衰退と高齢化によって近い将来国産農産物を食べられなくなるのではないかと心配していたのだ。食糧安全保証上も重大な懸念としていた。
2023年秋お米は不作だった。作況指数は101と発表されたが、異常高温・斑点米カメムシの猛威によって、全体的に小粒化、そして白濁米が増え、現場の実感では作況は90~95という人が多かった。コメ食の見直し(小麦も大きく値上がりしていた)によって需要も増大し、需給ギャップが50万トン近くとなった。折からの肥料価格高騰による生産者の肥料節約やインバウンドの増加も見逃せない要因かもしれない。しかし国が「コメが足りない」と言えば、国民はパニックになると思ったのか、それとも農林省のメンツを守ろうとしたのか、なかなか国はその事実を認めようとしなかった。ところが昨年の5~6月頃から多くの業者から在庫が夏まで持ちそうにないという声が出始めた。これは高くなるぞと思った業者、あるいは契約先の大手量販店等に十分なコメを届けることができないと判断した業者が、従来通りの概算金を示したJAより数段高い価格で新米確保に走ったというのが、2024年夏のお米価格暴騰の主因であることは間違いない。ここまでは国として国民に不安を与えないために致し方ないかなと私も思った。しかし国は更にお米が足りないわけではない、悪いのは「高値を狙って在庫調整しているJAと複雑な流通構造だ」と言い始めた頃、これは明らかな責任転嫁だと直感した。当のJAや流通業者も今反論しても火に油を注ぐ様なものなのでと口を閉じた。ここで皆さんにわかってもらいたいのは、お米は原則年1回、秋にしか収穫できないことです。しかし国民が供給を受けるのは1年間である。農家がいつお金をもらえるのか、流通業者が中途ではどれくらいの在庫の確保が必要なのか、まして精米したコメをスーパーに卸す業者はできうる限り早く販売したい(精米すれば時とともに品質が落ちる)と考えるので小ロットで精米を繰り返す。その現実を知らず流通倉庫に積まれている玄米をTVで流し、あたかも悪徳業者のように報道したメディアの姿勢は大きく反省すべきだと私は思います。
そして2024年も結果として実態はやや不作、2025年産も現況の異常高温・カメムシの猛威、干ばつ等を考慮すれば豊作とはならないのではないだろうか?本年秋以降のお米価格がどうなるかは私も予想できない。しいて言えば新米5kg税抜き3,500円位は、日本農業の存続、農家の営農意欲継続のために多くの消費者に理解してもらいたいというのが私の感想です。
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