ブログ「社長のつぶやき」

2024.10.17 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

“なぜ日本では有機農業が増えないのか”私の仮説・推論

「なぜ日本では有機農業が増えないのか」これは素朴な疑問です。日本は四季豊かで「旬」を大切にする国です。また地球環境問題に関心の高い国民も多く、有機農業にも西欧諸国より理解がありそうな気がするのですが、現実は2020年基準でもヨーロッパは10%以上に対し、日本は0.3%程度にとどまっている。有機農業を志し、新規就農する人も多くが挫折、あるいは専業では生活が成り立たないのが現実のようだ。

そもそも何のために有機農業が奨励されるのか? 環境保全のためか、食の安心・安全のためか、国内資源の有効活用のためかなどいろいろあるが、そのすべてでしょう。ごく大雑把に言えば、有機農業を実践すれば、労力2倍、収量半分と言われる。差し引き現行農産物より4倍高く売れれば、ビジネスとして成り立つかもしれないが、現実は1.2倍程度、場合によっては「くずもの」として半値で取引される。

論点を変えますが、日本の治安は良いと思う外国人が多いのは、どうしてだろうと考えました。日本人は物を落としても拾った人が返してくれる、夜道を歩いていても突然強盗に襲われると怖がる人は少ない。これと同じように日本の農家が作った農産物は、敢えて違法な作り方はしてないだろう、まして毒など入っていないと信じられているからではないだろか?

国際的な認証制度取得の是非も問われるが、輸出を目指すのであれば認証を受けることは価値がある。買う人は作り手の正体がわからないので、認証がなければ危なくて買えない。つまり、作り手を信用しない前提で社会が成り立っている。ところが日本では、基本的に安全で、人々は信用できるという前提に立っているので、高価で形の悪い有機農産物を敢えて買う必要はないと思っている日本人が、大半なのではないかという仮説をたてました。

最近、日本人には「愛国心」がないと嘆く考え方の人もいますが、愛国心という難しい熟語を出さなくとも、自然に無意識に、日本が好きだと思っている日本人が多いだけではないかと思います。それを平和ボケという人もいますが、是非とも平和ボケで自然災害以外はリスクの少ない国で有り続けてほしいと私は思います。

話が飛躍し過ぎかもしれませんが、なぜ日本で有機農業が増えないかを考えるうちに、地球環境問題・戦争と平和・愛国心への考え方にまで発展してしまいました。

2024.10.08 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

生鮮食料品の価値について

10月の声を聞き、長かった夏がようやく終わろうとしている。今年の夏は、前半は酷暑・干ばつ、お盆を過ぎても猛暑が続き、台風10号が来るぞと10日以上振り回され、新幹線も計画運休した。その是非は色々意見あるだろうが、結果として多大な損害を受けた業界も多いだろう。それでも10月の声を聞くと渥美半島一面にキャベツの苗が植えられ、そのほとんどが活着している。農業に縁のない方は「それって当たり前だよね」と思うだろうが、私はこれぞプロフェッショナルだと思う。いつ植えたのだろう、どれだけ苦労したのだろうかと想像する。

チャンスを見ながら、寝る間を惜しんで一気に苗を植えていく農家の目線で農業政策を語れる政治家がどれだけいるだろうか?

なぜこんな偉そうなことを言うかといえば、今年の秋は選挙の年、立憲民主党の党首選挙があり、自民党の総裁選挙があり、本日現在では石破内閣が成立し、10月27日が総選挙と決まった。また、今年は新農業基本法が成立した年でもある。しかし、私の印象では農業政策は、あまり主要な論点にならなかったし、メディアもあまり取り上げなかったような気がする。強いて言えば、ロシアの侵略戦争があり、イスラエルのガザ侵攻があり、台湾有事が叫ばれる中で「食料安全保障」の観点から発言する政治家は多かった。

しかし、キャベツの苗を必死に植えている農家にとって、「食料安全保障」は主要なテーマなのだろうか? 強いて言えば農業施策はたしかに難しいし、お米の不足と値上がりが現実となっている中で、下手なことを言えばさらなる価格高騰を招き、揚げ足を取られるかもしれない。私は、今のお米の価格が正常で、これくらいは払わないと日本の農家もやっていけないよねと大半の国民が納得するくらいでないと、日本農業の危機はさらに深まると感じています。

これはインフレではない「農業産出物の価値を再定義する時が来たのだ」と言える政治家がいると良いなと思う。