ブログ「社長のつぶやき」

2021.06.10 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

「安心・安全」な〇〇


6月に入りましたが、9都道府県には緊急事態宣言が継続中です。
6月20日まであと2週間、東京オリンピック開催判断も含めて最も重要な季節となりました。
新型コロナ禍の行方は、仕事にも大きく関わるだけに、とても気がかりです。

このところ「安心・安全」なオリンピック開催を目指す等、政府筋から「安心・安全」という言葉が頻発されています。

この言葉はかつて農薬取扱にあたってポジティブリストが採用される際、業界の講習会でよく聞いた言葉です。

当時の講師曰く(名前忘れたが、官の人であることは間違いない)、「安心」とは具体的な基準があるわけでなく、主観的な心のあり方であり、「安全」とは具体的な数値基準があり、法で認められる範囲内で適正に農薬を使用する限りは「安全」であると聞きました。

ただポジティブリストの採用に当り、異なる作物の隣接農地から飛散した農薬が、当該作物にとって適用外農薬である場合、0.01PPMを超えると「安全」ではなくなるのでとにかく飛散防止に努めてほしいとの内容でした。

これは大変なことだと思いました。

ここ豊橋でも柿や温州みかんの隣にキャベツ畑が広がることもある。
キャベツ農家が厳密に農薬の使用基準も守っていても、飛散によって0.01PPM以上の適用外農薬が検出されることはありうる。
ましてそのことがメディアに報道されれば、産地にとっては壊滅的な風評被害を招きかねない。
左様に「安全」とは具体的、論理的、数値上の基準に基づく用語であると教えていただきました。

しかし残念ながら今回の東京オリンピックをめぐる政府筋の「安全」について、具体的な数値基準が示されているとは思えない。
まして農薬のようなポジティブリスト制度に準じるならば「安全」はほぼ100%ありえない。10万人に一人陽性者が出たら、「安全基準」を満たさないことになる。
もうここまでくれば「安全」という言葉はやめて、「必ずしも100%の安全は望めないが、オリンピックを開催する大義はリスクを遥かに上回る」というべきではないだろうか?
まして「安心」は心のあり方ですから、例えワクチン接種が進んでも何割かの国民は「安心」ではないという気持ちは変わらないだろう。
企業運営においてもこうした状況はしばしば起きる。
そのような時は、リーダーが自分の考え、想いを熱く伝えるしかないだろう。
会社であれば批判する社員が多いほど、ある意味良い会社だと私は思う。
東京オリンピックの開催是非についてもすでにその時がきたと私は思っています。