ブログ「社長のつぶやき」

2024.02.05 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

EU 農民デモに注目

1月末、ニュースでEU圏内のフランスで始まった農民デモが、欧州全体に広がりつつあるというニュースを見た。個人的には「やれやれ」という気持ちですが、高速道路を封鎖して、パリを包囲という動きに、正直派手だなと感じた。高速道路封鎖という行動に市民はどう思うのか? 日本だったらおそらく農家の傲慢と避難されるだろうが、EUでは市民にも農民行動への一定の理解があるのでしょうか、それとも実力行使はフランスの伝統だろうか?日本においても現在の農業環境は最悪ですが、風土なのか、国民性なのか、「高速道路をトラクターで封鎖」という行動は多分思いつかないし、多くの国民の共感も得られない。くどいですが、日本農業も最大のピンチですが農業現場目線のメディア報道は少ないような気がします。農業は、生産性が低く補助金で成り立っているのに、自分勝手なわがままな行動だと思う国民が半数以上だろうと想像します。  

JAcomのネット配信、イタリア農民デモの記事の中で「農業はその収入の半分以上を国の援助に頼っているが、それは我々が市民のためにコスト以下で製品を売っているからで、国はその差額を払っているだけだ。・・(一部省略)・・。現在のEUの政策は、第一次産業を破壊しようとしているとしか思えない。失業者が増えるだろう」と、イタリア農民委員会のリーダーの一人の発言を取り上げている。これは、日本の特に穀物農業(主に米作)も近いと感じる日本の識者はどのくらいいるだろう?

 EUは、「有機農業」に対する基準も、環境政策の目標値も日本より高い。マニアックな知識だが、有機農産物を名乗るには使用する種苗においても、その生産が有機農法による収穫物でなければならないと聞き、正直すごいなと思っていた。しかも、支援するウクライナからは大量の廉価な穀物が入ってくる。その中で農業を頑張っているEU農民は立派と思っていたが、デモの理由を聞けば日本と状況は近いと、変な感想かもしれないが少し安心した。自分なりに解説すれば、農産物価格はあまり値上がりしないのに、使用する「農業資材価格」(石油類・肥料・飼料含む)は高騰、ただでさえ苦しいのに追い打ちをかけるように、厳しい環境基準を突きつけられ、補助金はカットされる、もう我慢できないという理屈だと思う。   

EUを先進事例とする日本の政策もEUに近づいているが、現場は「空想論・理想論」と感じている農業者も多い。日本の農業団体は高速道路を封鎖するような実力行動はしないと思うが、怒りの気持ちはEU農民に近いということを少しでも理解していただければ、ありがたいと思います。