ブログ「社長のつぶやき」

2022.06.10 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

食糧危機の足音

今年も6月となりましたが、ロシアによるウクライナ侵攻は今も続いています。今月も暗い話で申し訳ありません。
EU諸国はロシア産原油・天然ガスを削減する経済制裁に躍起です。

しかしエネルギーより恐ろしい問題がある。それは食糧問題です。
しかも今年だけでなく来年は更に深刻となる可能性が高いと恐れています。
理由は2つ 
一つはウクライナ・ロシア産の小麦を中心とする食料貿易が滞ること、
二つ目は化学肥料(特にカリ系、アンモニア系)の高騰と品不足で、本年十分な作付ができないことによる収量の低下と高価格です。

二つ目は来年にかけ特に顕著になるだろう。
日本はまだ衰えたとは言え、世界から買う力と金がある。
心配なのは発展途上と言われている国々、中東の一部やアフリカです。
もともと12年前発生した『アラブの春』も小麦価格の暴騰が発端だった。燃料がないことよりも食べ物がない方が遥かに早く生命の維持を脅かされる。
私の極論を言えば今年の日本は減反などせず、お米を作りたいだけ作らせたらどうかと思う。小麦は価格統制せず国際価格に連動させる。
それでもお米は大量に余るだろうがそれはすべて食糧危機を招くことが予想される国に援助すれば良い。諸外国で日本のお米が気に入られるとは思えないが、本当に飢餓に瀕している国なら背に腹は代えられないだろう。

弊社でも養液栽培用の肥料はそれなりに扱いがあり、しかもその大半は中国からの輸入に頼っている。
将来万が一極東地域で有事が起こり、肥料の供給がストップしたならば、日本の野菜供給はたちどころに大混乱となる。どんなに中国脅威論を唱えようと、貿易戦争になれば日本の負けである。

一方欧米諸国の潮流は2050年カーボンニュートラル。日本も同様にその理念を公約し、農林省も「みどりの食料システム戦略」を打ち出した。
2050年までに輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料使用量の30%低減を目指すとのこと。
これは今回のウクライナ危機以前に発表された目標であり、ある意味時代には追い風のように見えるが、その理想につながる具体的な技術や道筋が全く見えていない。ここ数年続きそうな危機に対する処方箋がない。ドイツはロシアからの天然ガスパイプラインを止めても、一部石炭火力の復活、長期には自然エネルギーの増大で乗り切る可能性が高い。

肥料不足への対処はエネルギー問題への対処より更に難しい。
長引きそうな肥料価格の高騰と品不足に対する有効な答えを見出さないと2050年までとても持たない。
特に農業はここ1~2年の喫緊の問題だと感じています。