2013.03.25 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
皆様に置かれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。弊社も、おかげさまで創立45年を経過いたしました。これもお客様、そして仕入先様と社員の努力のおかげと厚く感謝申し上げます。
さて、日本農業を取り巻く環境は大きな変化を迎えつつあります。自民党安倍政権の元、TPP交渉参加が決定されました。国が何も施策を取らないと前提した場合の日本農業の損失額は、3兆円を超えると試算されています。米・麦・畜産・酪農・砂糖には、甚大な影響があると言われていますが、弊社が業務の基盤とする園芸農業(野菜・花卉・果樹)においては、もともと自由競争であることから直接的な影響は軽微です。
日本の野菜は安心・安全の上に高品質です。しかし、生産性についてはまだまだ向上の余地があります。日本の園芸農業が国際競争力を持つことは十分可能であると、私は信じています。現に、鶏卵などはすでに世界トップレベルの生産性を有しています。お客様の生産性向上のお手伝いを通して、TPPに負けない世界に冠たる農業国となることは、夢ではないと確信しています。種苗の選択から収穫に至るまで、弊社がお手伝いできる分野は山ほどあります。商売を通して、お客様である農業者の生産性向上に役立ち、そのことが、結果として日本農業の国際競争力アップに繋がるのであれば、こんなに素晴らしいことはありません。今回、記念旅行でもお邪魔した東南アジアは高度成長を続けています。これからの日本農業は、少子高齢化で需要が減退する国内だけでなく、近い外国であるアジア地区への輸出という視点も、現実的に考えるべき時に差し掛かっていると、私は考えます。
2013.01.25 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
新年のご挨拶というには少々遅すぎますが、本年もどうか宜しくお願い申し上げます。
今年は巳年、原字は頭と体ができかけた胎児を描いたものだそうです。また、植物で言えば、内部にできた種子が大きさを測れるまで大きくなった状態を指すそうなので、「タネや」にとっては、当たり年ではないかと都合の良いような解釈をしています。
昨年末の総選挙で、自民党が政権に復帰。「アベノミクス」で景気が上向きになって株も上がり、円安傾向が持続するようであれば、新年早々、今年の流行語大賞は決まったようなものです。わかっているようでわからないのが、2%のインフレターゲット設定の意味合いです。インフレ率が2%以上高い国家が、何とか2%以内に物価上昇を抑えたい、という時にインフレターゲットを設定するならわかりますが、現にデフレの国家が、何が何でも2%のインフレにする、という政策目標を立てるのは、かのケインズさんも想定外ではないかと思います。また、農業分野では①TPP参加問題②戸別補償政策の見直しが緊急の案件として浮上しています。いい意味で、日本国が新たな再生、脱皮をはかる「巳年」足らんことを念じています。
今年の冬は、昨年にまして寒い冬になっています。弊社にとって、冬はキャベツ、トマト、和菊の相場が大変気がかりです。今年は年末からの寒波、天候不順も重なり、葉物系の生鮮野菜が総じて高値で推移し、ニュースでも「野菜価格高騰」が度々取り上げられています。
大雑把な見方として、東京大田市場においてキャベツ10kg箱千円以上、トマトが4kg箱2千円以上であれば、生産者も一息かなと思います。キャベツの価格というのは、消費者、なかんずく家計を預かる主婦にとっても、野菜が高いか安いかを判断する指標作物だそうです。スーパーでキャベツが100円以下で特売されているとき、主婦は安いと感じるでしょうが、農家は悲鳴を上げています。298円では高すぎる気がします。1玉198円程度で販売されている時が、生産者・消費者共に納得できる価格ではないかと勝手に想像しています。今後どのように価格が推移するのかはわかりませんが、露地野菜はともかくも、施設園芸においては、寒い冬、かつ原油の値上がりと円安のトリプル苦で、燃料価格の高騰が確実にコストアップとなっています。弊社も引き続き生産者目線で、地域の野菜・花卉生産の力になれるよう努力します。改めて、本年も宜しくお願い申し上げます。
2012.12.26 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
今年も一年、大変お世話になりました。弊社にとって年末の最大のイベントは、全社忘年会を兼ねた下期勉強会です。私はそのように言いますが、社員の立場から見れば、忘年会に下期勉強会がおまけという感じでしょうか・・・。会社では年3回全社員が集まる機会があります。5月の『経営計画発表会』と7月の『上期勉強会』、そしてこの年末の『下期勉強会+忘年会』です。しかも、泊まりがけで行われるのはこの下期勉強会のみです。少々予算はかかりますが、会社にとっては一年区切りの大切な会です。忘年会が始まり、1時間位過ぎるとだいたい毎年収拾がつかない状態になります。2時間後には早く後片付けをしたいホテル(旅館)側と、まだ飲み続けたい酔っ払い社員との拮抗状態が続きます。正直、過去には、元気のよすぎる社員のおかげで出入り禁止になった旅館もあります。
私は、今年の下期勉強会で3つの標語を掲げました。1つ目は『和気あいあいよりも切磋琢磨』です。和気あいあいは一見良いことのように思いますが、慣れ合い、気の緩み、内向志向、そして退廃につながる可能性があります。実際、お客様から君の会社は『ぬるま湯』だと指摘される事があります。お互いがよりよいサービスをしようと切磋琢磨している姿が感じられなければ、お客様は去っていくでしょう。2つ目は『年だからとは言わせない!』です。弊社の平均年齢は、男女合わせて37歳を超えました。公務員の平均よりも少し上です。少子高齢化、まして来年からは60歳になっても年金がもらえない時代を迎えます。50歳を過ぎて、定年を指折り数えるような社員は、当社には不要です。中高年全員がますます働くぞ!と心意気を持てるような会社にしたいという願望を込めてです。最後は、「GOODはGREATの敵」です。大抵の人は、自分が見習いだと思っている間は、一人前になろうと多かれ少なかれ努力します。しかし、まあまあ一人前になったと思った時からが本当の勝負です。そこで手を抜いたら、進歩がありません。個人の価値観においてはGOODの何が悪いのかということでしょうが、お客様に向き合う組織においては、GOODはGREATの敵です。それは、和気あいあいだけでは良い会社ではないという意味でもあります。
2012.11.26 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
11月14~16日とアグロ・イノベーション2012に出展させていただきました。7月のGPECとは違い、農家さんよりも試験場関係者・大学関係者、企業関係者の方が圧倒的に多い展示会でした。小生は、かつて豊橋の農業委員をさせていただいたことがあるのですが、ある討論会で専業農家の方から、「いくら農地法で農地が守られても、肝心の農家の生活が成り立たなくなってきたら、何のための農地法なのか!」と痛切なご意見を頂いたことを鮮明に思い出します。
食料自給率の低下と農家の高齢化で日本農業は弱体化する一方なので、企業の農業参入が推奨され、「植物工場」が当面の話題となっています。また、オランダでは国家的なプロジェクトで、125haのトマト温室を建設する計画があると聞きました。韓国においても、農産物輸出競争力強化の方針のもと、10ha規模の温室群を核とする農業団地構想があると聞きました。日本の現状を鑑みると、100倍あるいは1000倍位の規模の開きがあります。また、展示会ではLED照明の効果的な活用と、クラウドコンピューティングを活用した生産から流通までの情報統合技術の開発が、目玉のようでした。
様々な情報に接すると、自分が立つ土台はどうなのかとの思いに駆られます。その度に、前述の農家の声を思い出します。日本の農業の10年後、20年後はどのような道を目指すのか、本当に難しい問題です。小生としては、100ha規模の温室を経営する農業経営者数十人で国内の需要がまかなえるような世界は、望ましくないように思えて仕方ありません。世界的に見れば中小規模であるとしても、やる気のある生産者がお互いに切磋琢磨して高品質で多様な農業が共存する社会の方が、安定性があると思います。そして、10年後の日本農業を支えるのもやはり、しっかりした理念を持った前向きな農家だと思っています。
2012.08.23 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
残暑お見舞い申し上げます。お盆を過ぎれば少しは涼しくなるのではという期待に反して、猛暑が続いています。8月はキャベツのタネまきシーズンです。毎年のことですが、発芽率の問題で気をもみます。もちろんメーカーは発芽試験をパスした種を売るわけですし、弊社も主要品種は独自に発芽試験を行うのですが、それでも現場で発芽が悪いというお叱りの声をいただくことが度々あります。一つは発芽率が基準を満たしていても、「発芽勢」が若干劣る場合、播種時の条件によって発芽率が大きく落ちる時があるからです。またもう一つのポイントは、キャベツは高温に比較的強いとはいうものの、猛暑続きの条件の中では、キャベツ自体が「今は発芽すべき時でない」と判断するのか、「二次休眠」といわれる発芽不良を起こすことがあるからです。しかも昨今はプラグ育苗が一般的になったので、発芽の揃う品種とそうでない品種は一目瞭然です。農家から見れば、欠株の目立つプラグは、その後の育苗や定植時の生産性も悪くなるのでダブルパンチ、種屋に文句が言いたくなるのは、お客様の立場に立てば当然です。そうならないよう弊社としても最大限の努力はしているつもりですが、種も農産物、毎年の気候条件によってその充実度が微妙に異なってきます。新種は6月から7月にかけ収穫されるのですが、播種期は7月から8月、農家が必要とする時期に間に合うかどうかが勝負です。しかもその間に検品・選別・発芽率調査・交配ミス調査・種子消毒・コート加工というプロセスがあります。毎年キャベツ種子販売は薄氷を踏む想いであることも少しご理解いただければ幸いです。
2012.07.24 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
九州を中心に記録的な豪雨が続いていますが、東海地方は7月17日突然「真夏」になったという感じです。会社にとってもいよいよ秋冬種苗販売の最盛期です。種・苗は基本的に「農産物」故、毎年人気のある品種が品切れになったり、また播種期に間に合わなかったり、はたまた苗の出来が思い通りでなかったりと、お客様にご迷惑をかけることも度々です。誠に申し訳ございませんが、できうる限りお客様の予定が狂わないよう、代替手段を提案するのも弊社の大事な仕事と思っています。
そして今年は、この一番の忙しい時期に東京ビッグサイトで開催されるGPEC(施設園芸・植物工場展 7月25日~27日)に、ほとんど初めての挑戦ですが、出展をさせていただきます。弊社の会社としての特徴はと言えば、施設園芸を増設、または新規のお客さまに対して、種まきから収穫までのお手伝いができるということです。もちろんお客様の意向に沿った施設および栽培システムの提案もいたします。まだまだ十分でない所ばかりですが、弊社にとって最大の喜びは、種の選択からお付き合いしていただいたお客様に、お陰でとてもよい収穫ができたと言っていただくことです。その途中では、弊社が保有するソフト技術、サービスをどれだけお客様に提供できるかがカギとなります。なかなか収穫物販売のお手伝いまではできませんが、そうした一連の当社の取り組みをなんとか表現したいとスタッフ一同、展示会に向けて奮闘しています。是非足を運んでいただけたらと思っています。
2012.05.22 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
弊社は4月末決算です。どうして4月末となったのかは、よく聞いていませんが、おそらく4月は店頭小売・家庭菜園が繁忙期のため、少し一段落する4月末を選んだのだろうと思っています。
しかし4月決算には欠点もあります。毎年ゴールデンウイークの最中なので、せっかくの新年度入り(会社にとってはお正月のようなもの)も気が抜けた状態で迎えることになります。そうした状態を補う意味もあり、弊社では毎年5月の早い時期の土曜日に社員全員が一堂に会し、「経営計画発表会」と「新入社員歓迎会」を豊橋駅前のホテルで開催することが恒例になっています。
この「経営計画発表会」と「環境整備(朝全員で掃除をする)」「経営計画書による経営」は3点セットで、(株)武蔵野の小山社長に指導していただいたもので、今年でちょうど10年目になります。「習うよりも慣れろ」「頭でっかちにならず、良いと思ったことは素直に真似ろ!」というのが小山先生の教えでした。「サルまねでも3年継続すれば、自分のものになる」、そして「10年継続すれば会社の文化となる」と言われました。
今年で10年目を迎え、振り返ってみれば確かに「会社の文化」になってきたと手ごたえを感じていますが、同時にマンネリと停滞感を感じるのも正直なところです。「3年真似たら、徐々に自分の色を出せ」と教えられていたことを忘れていたようです。
最近小山先生とは別に小宮一慶さんと言う著名なコンサルタントの話も聞きました。「GOODはGREATの敵!」という言葉がありました。「真似ろ」という教えは、ぼんくらな私にはありがたかったのですが、時間とともに「もっと良くする。今なれる最高の自分になる!」という気概がなければ、サルまねはサルまねのままです。仮に当社の好ましい文化になったとしてもGOODのままでは、次に来るのは「停滞」そして「堕落」であると肝に銘じてこれからも努力します。
2012.04.04 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
皆さんこんにちは。
今年は、桜の開花が昨年より1週間前後遅いですね。3月に入ると犬の散歩がてら、自宅近くの神社のソメイヨシノの蕾を観察するのが日課となっています。毎日少しずつ膨らみ、やがて蕾の先端がピンク色になっていくのを見るのは、朝の密やかな楽しみです。つるつるの桜の枝が、春になると葉っぱもないのにいきなり蕾を膨らますということを、毎年不思議だなと思いながら見ています。春は、生命の再生と神秘をもっとも感じる季節です。
さて弊社の決算は4月末ですが、多くの会社がそうであるように、弊社にとっても4月は気持ちの上では新年度入りです。人事異動も4月1日からです。それに何より、4月は新入社員を迎える時です。弊社では、新卒リクルートを大切にしており、毎年少しでも新入社員を迎えます。しかし、おかげさまで45年経つ会社ですから、定年を迎える社員も毎年出てきます。こうした流れが出来る事こそ、文化・秩序、そして何より当社のアイデンティティの源泉となります。
弊社が、ここまで来られたのは、支えて頂いたお客様と先輩社員のおかげです。4月はそのことの重みに感謝し、気持ちを新たにする月でもあります。そして何よりも新入社員の存在は、2年目社員に「もう新人でない」ことを自覚させる事が出来ます。そして言うまでもないですが、新入社員も迎える経営者の責務は重大です。私にとっては、そのことをしっかり自覚する時でもあります。
2011.10.16 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
先週当社は幕張メッセで開催されたAGRITEC(農業資材展)に出展しました。出展内容は弊社が勧めるトマトのココバッグ栽培システムの紹介でした。お
越しいただいた皆様には厚く御礼申し上げます。当社の狙いはココバッグ栽培システムを通じた施設トマト増収案の提案でしたが、中々そこまで来場者に伝える
事は難しいだろうということで、今回は「ココバッグ栽培システム」(ハード)の紹介に徹しようということになりました。しかし実際に展示をしてみると、増
収に結び付く環境制御技術に興味を示す専業農家が多くいました。
帰りの新幹線でたまたま読んだWEDGEという雑誌に「なぜ農業界は増収による
コスト低減を語らないのか」(昆 吉則)と言うコラムが目に留まりました。日本農業の、特に米作については、長年の減反施策によって「単位面積当たりの増
収」は目標でなくなっています。それはそうで増収はすなわち減反面積の強化につながるわけですから、自らの首を絞めるだけだからです。この傾向は野菜や果
物でも似た潮流があり、増収と言うことが主要なテーマにならないようなムードがあります。農林省の言う農業の6次産業化とはすなわち、生産物にいかに付加
価値をつけて売るかということであり、キーは高品質にあります。しかし本当にそれだけで良いでしょうか?当社が目指す施設トマト栽培は、日本の気候を利用
して少なくとも中以上の品質のトマトを、数値を根拠とした複合された環境制御技術を通して、考えられる最大の単位面積当たりの収量を目指す栽培法です。当
面の目標は10a当たり50トン採りです。前のブログで紹介したモアークさんは、単位収量当たり付加価値(表面的には価格で数値化)を普通栽培品の3倍以
上に設定しています。私はこの流れも大事だと思っています。日本農産物を戦略的な輸出品とするためにも徹底した高品質路線は重要です。この流れは優れた農
業者かモアークさんのような高い志を持った新規参入者が時代を切り開くでしょう。弊社としては高収量を目指す農業のお役にたてるよう更に努力したいと思っ
ています。
2011.10.11 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]
TPP参加問題が再熱し始めました。
野田首相は11月までに決定する必要に迫られています。
私の現段階の考えを述べさせていただくと、現況の日本農業の構造の中でTPP導入は、稲作を中心として大きな打撃を受けることはまちがいなく、反対です。
しかし日本農業の将来を考えると、農業を戦略的「輸出」商品とするためには、貿易の自由化はむしろ受け入れる必要があると思っています。
現況の日本農業は、後継者不足、高齢化と言うことで将来が危ぶまれていますが、実態としては「農地」は余っているのです。余っている農地に積極的に野菜を作付けすれば、人口減少が続く日本社会の中では、間違いなく生産過剰で暴落します。
遊休農地が増えているのは、作る人がいないからではなく、作っても採算が合わないと思っている農家が多いからです。
供給を増やすには受け皿が必要です。それは「輸出」しかありません。輸出を増やすことによって、農業大国となることができます。また、食の貢献は日本の国際的な地位を高めます。
また輸出を念頭に入れないならば、当社のマーケットも間違いなく、右下がりのままです。日本の野菜・果樹・花卉・高級畜産・及びブランド米は大きな付加価値があります。香港や中国都市部、シンガポール、ロシア、アメリカの主に「富裕層」対象とはなりますが、将来輸出とすることは十分可能と考えます。
そのためには規模拡大意欲のある農家への農地の集中と、国を挙げての付加価値戦略、そして輸出インフラの整備を整えることが大事だと思います。
稲作については、例えば保護対象を5~10ha以上栽培の専業農家に限る。中山間地や棚田等の維持管理は、環境問題と割り切って、耕作者に環境維持料を払うなり、環境NPOに依頼するとか、家庭菜園の延長線上でお米を作りたいと言う人に貸し出す等の制度を作ればよいのではないかと思っています。
今週は以上です。