ブログ「社長のつぶやき」

2021.01.06 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

2020年の3つの出来事

謹賀新年 新しい年が始まりました。
しかし新型コロナウイルスによる社会混乱は年を越えても衰えることなく、益々猛威を増しており、不気味な情勢です(2021年1月5日現在)。
2020年に始まった新型コロナウイルス禍は今後歴史の教科書に載ることは間違いありません。

パンデミックによる死者数が第1義的な記載事項でしょうが、それ以上に「ICTの進展」と「貧富の格差拡大」という点において歴史上の特異点として記憶されるのではないかと想像しています。もはや2020年1月までの世界に戻ることはできないでしょう。

村上春樹さんの「1Q84」ではないが、2020のつもりが「2Q20」の世界にワープしてしまったのかもしれません。個人的にはもとの2020に戻りたい。デジタルよりもアナログ、ソーシャルディスタンスよりも温もりです。

 そんな中、園芸種苗業界においても特質すべきことが3つ有りました。

 一つは野菜種子の90%以上が海外採種と言われる中、種子の安定供給ができなくなるのではないかと心配されたことです。驚いたことに種苗メーカーよりも使用する側の農家が真剣に心配したようです。海外の採種圃場を視察できない、指導できない、種子の輸入が滞るのではないかという思いからでしょう。
しかしこれは杞憂に終わりました。種子生産及び流通のネットワークがいかに世界中の関係者の相互信頼関係に支えられているかを証明しました。

 2つ目は筑波大学の江面教授によってゲノム編集技術を利用した高GABAトマトの開発・実用化が発表されたことです。
遺伝子組換は厳重な「審査」が必要な上、日本の消費者からはほぼ拒否された感があります。
しかしゲノム編集は基本的に「届け出」で市場流通が可能です。

2021年以降このゲノム編集食品 高GABAトマト(品種名 シシリアンリュージュ ハイギャバ)を消費者が受け入れるかどうかの社会実験に大きく国が舵を切ったということです。
ゲノム編集食品であることはあえて表示義務はなく、かつ開発者自身が公表しなければ、ゲノム編集の痕跡を後から調査検証することは不可能であると言われています。

あえて大々的にメディア発表したのは、国が国民に「ゲノム編集食品」を受け入れてほしいという明確なメッセージです。

 3つ目は2020年12月2日参議院本会議において「種苗法の一部を改正する法律」が可決成立したことです。これは原理的に言えば、人工的に改変(品種改良された)され、特有の特性を有することが確認され、かつ国家によって品種登録を認可された品種については、その自己増殖権よりも育成者権を優先させるということです。

特に栄養繁殖で増殖できる植物の海外での無断増殖を抑制する法的根拠を持ったというところに意義があります。やや思想的・あるいは情緒的な反対論も予想されましたが、無事成立、本年4月の施行を待つ段階となりました。

以上3つの事実はコロナ禍の最中ではありますが、2020という年は業界にとっても大きな変化の年となりました。

本年もどうかよろしくお願い申し上げます。
川西裕康

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