ブログ「社長のつぶやき」

2025.08.06 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

今年の米価の推移について

やっと政府は米価高騰の真の原因は「需給ギャップ」の拡大であることを認めた。私の「仮説」は正しかったと確信できました。国(主に農林水産省)は、お米を含む農産物の不足よりも作りすぎによる暴落を心配していた。そもそもこの感覚が国民目線(主に都会の消費者)とはかけ離れている。消費者は農業の衰退と高齢化によって近い将来国産農産物を食べられなくなるのではないかと心配していたのだ。食糧安全保証上も重大な懸念としていた。

2023年秋お米は不作だった。作況指数は101と発表されたが、異常高温・斑点米カメムシの猛威によって、全体的に小粒化、そして白濁米が増え、現場の実感では作況は90~95という人が多かった。コメ食の見直し(小麦も大きく値上がりしていた)によって需要も増大し、需給ギャップが50万トン近くとなった。折からの肥料価格高騰による生産者の肥料節約やインバウンドの増加も見逃せない要因かもしれない。しかし国が「コメが足りない」と言えば、国民はパニックになると思ったのか、それとも農林省のメンツを守ろうとしたのか、なかなか国はその事実を認めようとしなかった。ところが昨年の5~6月頃から多くの業者から在庫が夏まで持ちそうにないという声が出始めた。これは高くなるぞと思った業者、あるいは契約先の大手量販店等に十分なコメを届けることができないと判断した業者が、従来通りの概算金を示したJAより数段高い価格で新米確保に走ったというのが、2024年夏のお米価格暴騰の主因であることは間違いない。ここまでは国として国民に不安を与えないために致し方ないかなと私も思った。しかし国は更にお米が足りないわけではない、悪いのは「高値を狙って在庫調整しているJAと複雑な流通構造だ」と言い始めた頃、これは明らかな責任転嫁だと直感した。当のJAや流通業者も今反論しても火に油を注ぐ様なものなのでと口を閉じた。ここで皆さんにわかってもらいたいのは、お米は原則年1回、秋にしか収穫できないことです。しかし国民が供給を受けるのは1年間である。農家がいつお金をもらえるのか、流通業者が中途ではどれくらいの在庫の確保が必要なのか、まして精米したコメをスーパーに卸す業者はできうる限り早く販売したい(精米すれば時とともに品質が落ちる)と考えるので小ロットで精米を繰り返す。その現実を知らず流通倉庫に積まれている玄米をTVで流し、あたかも悪徳業者のように報道したメディアの姿勢は大きく反省すべきだと私は思います。

そして2024年も結果として実態はやや不作、2025年産も現況の異常高温・カメムシの猛威、干ばつ等を考慮すれば豊作とはならないのではないだろうか?本年秋以降のお米価格がどうなるかは私も予想できない。しいて言えば新米5kg税抜き3,500円位は、日本農業の存続、農家の営農意欲継続のために多くの消費者に理解してもらいたいというのが私の感想です。

2025.08.01 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

猛暑でも元気なひまわり

2025年夏本番、今年の夏も暑い! 子供の頃 夏休みは何よりも楽しみでしたが、今は「恐怖の夏」。それでもとてもうれしいことがありました。「はるかのひまわり」の種を人づてにいただき、毎年植えているのですが、今年も大輪の花を咲かせました。最初はひょろひょろですが、暑さに耐えて、いやこの暑さをエネルギーに代え、2メートルを超える高さになり、大輪の花を咲かせました。元々観賞用ではないので見方によっては不揃いな花ですが、私にとっては夏の恵みです。その生命力に力をもらいます。
*「はるかのひまわり」については興味ある方はネットで検索してみてください。

今年はどんな8月になるでしょう? 農家は種をまき、そしてこの酷暑の中、定植します。豊かな恵みと高単価を期待して、汗をかきます。

2025年秋・冬がどうなるかは私もまったく予測できません。ただお米の5㎏小売価格2500円では、ほとんどの農家は赤字という報道を耳にすると、少し農業の置かれた現実に心を寄せてくれる人が増えたのかなと、ほっとします。今年の新米の田植え(いわば定植)は5~6月に終わっているので今更増産はできません。したがってどの程度の価格になるかは概ね専門家なら見通せます。ただ過剰による価格暴落よりも、生産不足による価格高騰が心配な世の中になったことは間違いないと思っています。またお米は主食そして「穀物」ですが、自分の専門は「園芸」作物、野菜や花卉、果樹等です。お米以上に生産状況は天候によって、相場は乱高下します。がんばる農家にとって良い年となることを祈るばかりです。

2025.07.01 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

7月は変化の予感

今年の7月はいろいろなことがターニングポイントになる予感がする。かつてノストラダムスの大予言というのがあったが、実際は何も起こらなかった。今回は香港?発信源で7月5日前後に日本が大災害に見舞われる(大地震)というのだ。現実に7月の訪日客が減っているという話を聞く。ただ根拠が極めて薄い、流説のたぐいだ。

お米騒動の激化は可能性が高い。備蓄米もほぼ放出して新米を待つ季節であるが、新米は豊作となるのか、投機目当ての保存米が本当にあるのか、7月末から8月に答えが出るだろう。私の予想では備蓄米の放出にもかかわらず、端境期のコメ不足が顕在化し、かなりの混乱が発生すると予測する。根拠は自分が聞いた範囲では、お米の在庫が例年以上に不足しているという話を複数聞くからです。国民が食べるのに苦労するところまではいかないでしょうから、職業的立場から言えば日本国民が日本農業の未来を自分のこととして考えてもらえる良い機会が訪れたと思っています。新幹線から見える小区画の水田、遠くに見える棚田、私にとっては原風景であるが、近い将来どうなるのか?安定した輸入米に頼るのも一つの道ではある。この景色は50年後もみられるのだろうか?空から見守りたい。

また7月には参議院選挙があり、国際的にはロシア・ウクライナ・イスラエル・ガザ・イラン等の紛争が続いたままだ。ローカルですが豊橋市では新しいアリーナの建設是非をめぐって住民投票が行われる。小生の立場は地元では知られているが、この結果は将来の故郷を大きく変える。
「change」の時です。

それにしても6月から猛暑なのに7月・8月はどうなるのか、この暑さの中でプロ農家は結果を出せるのか、熱中症に倒れる人はいないか、不安の尽きない7月の始まりです。

2025.06.09 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

またあの猛暑の夏が来るのか?

前回のブログから、コメ問題は激変した。江藤大臣の失言辞職から小泉大臣が登場し、買戻し条件なし、しかも随意契約で、政府備蓄の古古米、古古古米が売り出されるとはだれが予想できただろうか。そもそも価格対策で備蓄米が「バナナのたたき売り」のごとく放出されるのは、本来の趣旨と相当かけ離れている。 今後「想定外」の大災害が起きた場合に、日本に食料はあるのかとまで心配になりますね。

お米への関心からすれば地味な話題ですが、冬場高かったキャベツも5月は大暴落、農業現場に何が起きているのか、私にもよくわかりません。

そしてまた夏が来る。子供の頃夏が来るのは楽しみでしかなかった。「もういーくつ寝ると夏休み」そんな気分でルンルンでした。ところが今は今年の夏も記録的な猛暑になるのではないか、しかもその影響は9月を超えて10月まで続くのではないかと憂鬱な気分です。大げさに言えば恐怖しかない。大騒ぎしているおコメの作柄も心配ですし、夏に播種、育苗する野菜たちが無事に育つのか、雨の降り方はどうか、狂暴化した台風が日本列島に上陸する可能性はどうか、会社に目を向ければ熱中症で倒れる社員は出ないだろうか、またまたその結果としての業績はどうなりそうか、心配事ばかりの夏を迎えます。地球温暖化は肌感覚としてじわじわ進行していることは間違いない。50年以上寿司屋を経営している大将も、魚の種類も変わり、旬の時期もわからなくなってきたとぼやいていた。ブログでは何度も書いたが、本来自給できるはずのお米を筆頭に、農業政策は不足よりも過剰生産による暴落を心配してきたが、もう時代が違うように感じます。

どんな凶暴な夏が来るかわからないので、意欲のある農業者には思いっきり作らせてあげたらどうか、そして知恵と工夫と努力が実った農家がやりがいを感じ、しかも儲かってくれれば、高齢化による農業の壊滅は必ず防げる。少子高齢化、後継者不足による高齢化は農業だけの話では決してない。仕事が楽しく、やりがいがあって、しかも高収入が期待できれば人は集まるはずだと思います。

2025.05.07 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

第59期経営計画発表にあたって

下記文章は2025年5月2日弊社の第59期経営計画発表会にて社員向けに発表されたものであり、「第59期経営計画書」に記載された内容です。
その全文を社長のつぶやきとしてHP上でも広く公開させていただきます。

代表取締役社長  川西 裕康


今年も第59期の経営計画発表ができることを、お客様、社員、仕入先、関係先様のおかげと心から感謝します。創業は1968年、日本経済の成長とともに、農業も高度成長・近代化の時代でした。時代は会社の成長を後押ししてくれました。しかし現在基幹的農業従事者の数は減少を続け、2023年は116万人、2040年にはさらに70%減、30万人を切る予測も出ています。マーケットは明らかに右肩下がりです。会社の繁栄と存続は簡単なものではありません。お客様、強いては社会から必要とされない限り、会社はいずれ淘汰されます。創業57年、そのこと自体に誇りを持ちながら、過去に感謝し、未来に向かって更に必要とされる会社を目指したいと心を新たにしています。

農業の未来は「スマート農業」を駆使した少数のエリート農家による寡占のみが正しい道とは思いません。様々な思いを持った人が門をたたくでしょう。「多様性」は重要なキーワードです。様々な動機で農業に取り組む人々に寄り添い、より役に立つ会社を目指したいと思います。「地球環境問題」ももう一つの大きなテーマです。しかし理想論が優先し、現場の農業者と利益相反となっては、元も子もありません。非常に狭い道ですが、2050年カーボンニュートラルに向けた技術開発・商品開発と情報提供ができる会社でなければ、今後の発展は期待できません。地域に支持され、全国に、強いては世界に必要とされる会社を目指します。

「農業の多様性を尊重し、農業の発展に尽くせる会社を目指す」この言葉を本年度の方針とします。

弊社は日本の園芸農業にとって、必要とされる会社になりたいと念願しています。地域密着を基本としながらも、お客様に役立つと思うサービスや商品、そして技術については全国展開を推進します。引き続きご鞭撻、そしてご支援、ご協力をお願い申し上げます。日本農業が輝きを取り戻すことに必要とされる会社を目指します。

2025.04.25 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

令和の米騒動その後は

まさに令和の米騒動、政府は備蓄米の放出を続けるが、4月のスーパーコメ平均価格5キロは4,214円、14週連続の値上がりです。すでに価格は昨年の倍以上、大規模火災をバケツで消火を図っているような感覚です。しかも1年後買戻し条項あり。ここにきて主要県では増産の動きあるが、時すでに遅し、お米の作付は田植えから始まるわけではない。種もみの播種はほぼ終わっているので、今からの増産の余地は極めて限られる。今もって政府は流通在庫があると言っているが、本当にないのが実態だろう。実は2~3年前からお米の供給不足(実需より少ない生産量)はささやかれていたが、昨年夏に一挙に顕在化した。減反時代、そして現在に至るまでお米の需給は見事にバランスをとって誘導したと自負している政府官僚の成功体験が大きいのだろう。今回の根本的な原因は供給不足、もっと言えば農林省が把握している生産額の見込みと実際の乖離が広がった結果、一気に供給不足が生じ、価格が跳ね上がったことは間違いない。農家も被害者だ。もう少し値上げしてほしいとは思っていたが、一挙に倍以上に跳ね上がればコメ離れがますます加速する可能性もあるし、トランプさんの餌食となって米国産の輸入拡大を迫られるだろうし、韓国やタイ、ベトナムからも緊急輸入の話も聞く。

しかし本当の問題はこれからだ。令和7年はよほど記録的な大豊作にならない限り「令和の米騒動」は続くだろうと予測します。問題はその後です。もし農林省が2023年以前の価格に戻そうとするならば、一部の合理化を徹底した大経営稲作経営体を除き、お米は作らなくなるだろう。供給不足は輸入米で代替するしかない。食糧安全保障上も大問題だ。超大規模経営体のお米を食べるか、いやいや一部の高所得階層はいくら高くとも国産有機米を望むかもしれない。米価の落ち着く先は本当にむずかしい。さらに言えば、日本の思想・哲学・文化の問題に行き着く。日本人はその時「国産米をどの程度支持するだろうか?」 日本の農村にお米が植えられた田んぼがあり、それを食することにどれだけの価値を認めるだろうか?それにはもちろん価格との相対関係も大きい。輸入米にはチャンスだ。しかし日本人がどの程度受け入れるのか、そして食糧安全保障を重視する国がどのような手に出るのか、今後2~3年は見ものです。我々農業関係業者にとっても大転換の時が訪れそうだと予感しています。

2025.04.07 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

トランプ関税の日本農業への影響は?

春4月、ソメイヨシノは例年並みに咲きましたが、少し不思議でもある。今年の春は梅の開花が遅れ、河津桜も遅れ、ハクモクレンの開花も遅れたのにソメイヨシノは大体例年通りの開花となっている。これも地球温暖化の一現象なのか、春が例年のようなステップを踏まず、時間を大幅に短縮して、ぎゅっと詰まったような感じだ。昨年秋、多くの人が暑い夏から短い秋を過ぎ一挙に冬が来たと感じたように、今年の春は短く、若葉の季節になれば一気に夏を感じる天候になるのだろうか?

弊社も4月に10人の新人を迎え、実質新年度入り、5月からは会計年度の変更になる。

それにしてもわからないことが二つある。一つはお米の値段の今後の推移だ。恐らく国は今の価格は高すぎ、2年前までの価格は安すぎで、その間に適正価格を落ち着かせようと思っているのだろうが、需給調整は容易ではない。このまま上がり続ければ間違いなく需要が減り、消費者も生産者も共倒れになる可能性がある。食糧安全保障政策を新たに施行した政府には大打撃となる。今までとは違うアイデアやアプローチを創造することはできないのだろうか。

もっとわからないのはトランプ関税の日本農業への影響と、実際の弊社の経済活動への影響だ。農業だけを見れば米国は相当困るのではないだろうか。中国への穀物輸出には高関税がかかり、輸入されるリン・カリ肥料は高関税をアメリカ農民が負担することになる。米国農民はそれでも長期を見据えてトランプ大統領を支持するのだろうか? 日本農業そしてそれを担う生産者・農民にも大きな転機が訪れていることは間違いない。

しかし残念ながら私も全く予測がつかなく、ぼちぼちこの老いた頭は、新しい頭脳に取り換える必要がありそうだと感じるこの頃です。

2025.03.05 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

農産物過剰から恒常的不足への予感

昨年改定された新農業基本法の最大の理念は「食糧安保」にある。平たく言えば自給率を向上させ、将来起こりうる食糧危機に際しても国民を安心させることだ。しかし、現場の危機感は「不足」よりも常に供給過剰による「暴落」だった。つまり作り過ぎを常に恐れていた。ところが2020年から3年続いたコロナ禍を経て、多くの農家は疲弊した。肥料・燃料・資材価格がどんどん上がるのに、販売価格は上がらない。離農を考えた人も多く、子供に跡を継げとはとても言えない。見えないところでかなりの担い手と優良農地が消滅した可能性がある。

2025年3月、お米の値段も主要野菜の相場もかなり高い。輸入業者にはチャンス到来だ。ただこれは単に「異常気象」のせいだろうか? かつて異常気象は「豊作貧乏」の予兆と捉えられていたが、今後は慢性的な国産農産物の不足が生じるサインになったのではないかと直感的に思う。

更に言えば、「環境にやさしい農業」・「スマート農業の推進」がより農家を苦しめている可能性がある。環境にやさしい農業はより労働強化につながるだろうし、スマート農業を実現する資材の価格は経済的に合わないレベルとみられている。私も具体的な回答は見いだせないが、少なくとも新農業基本法の理念は良くとも、それを担う現場の担い手は消耗している。多様な担い手の確保と、仮に作り過ぎても価格が担保される「米政策」に転換しない限り、「食糧安保」はおぼつかない。現場の農家にとっては、供給減圧力が強まることはむしろ好機であるが、それを国際価格基準で国がコントロールしようとすれば、ますます離農者は増えると思う。多様な価値観を持った農業生産者がやりがいをもって、生き生きと働ける未来がベストだ。

2025.02.03 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

令和の米騒動

お米の値段が高い。農業の中でも園芸分野はそれなりにわかるが、お米の需給関係については、知れば知るほど闇が深いように思う。日本農業と農家側に立てば、お米の値上がりは大歓迎だ。

そもそもお米は日本の主食なのか? 大半の日本人は即座にイエスと答えるでしょう。私の孫を見てもおにぎりは大好物、ランチ食堂に行けば多くの人はご飯の大盛を注文している。数量的には現在もお米の消費量がトップであるが、金額的にはすでにパン類や麺類を下回っている(総務庁 家計調査2022年より)。おそらく2024年度国民一人当たりのお米の消費量は、50㎏を割っていると推察される。近々のデータでは1962年度は118.3㎏、江戸時代の高級武士ならばもっと消費していただろうと思われる。

国家による減反政策は、2018年に終了したものの、その後も多用途米への補助金行政等によって、微妙にお米の生産量を調整しているのが実情です。国は、食糧米の過剰生産による「米価の暴落」を何よりも恐れ、毎年の需給見通しに合わせて生産量が一致するよう、阿吽の呼吸で調整を続けてきたが、今回その微妙な調整が破綻しかかっているということだろう。そもそも食糧安全保障上、自給率向上を謳っているのに、一方現場は「過剰生産」を恐れているというのだから、何という矛盾だろう。

農林省は、稲作生産者の2022年度10a当たり生産原価を128,932円とはじいているが、2023年まではほとんどの稲作農家がそれを下回る赤字で出荷している。遊休農地が増え、離農者が増えるのも当然です。「農民は生かさず、殺さず」は江戸時代の標語?のはずだが、現在もその思想は官の世界では生きていると思わざるを得ない。大雑把に言えば、昨年のように10a当たり20万円以上の収入が確保できれば、稲作農家も意欲が出てくるだろう。

ルールを変更しないと、今後需給バランスのブレはさらに増すだろう。そもそも今年の6月~8月を無事に乗り切れるかどうかも大変不安だが、政治の季節でもあり、どんな政策が打ち出されるのか見守るしかない。

2025.01.08 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

野菜 高すぎるのもまた心配

明けましておめでとうございます。今年の干支は「乙巳」(きのと・み)、平たく言えば蛇年です。正直私もヘビは苦手ですが、「脱皮を繰り返しながら力強く前進するたくましい生物」と解釈し、今年もこの姿勢を貫きたいと念願しています。本年もどうか宜しくお願いします。

それにしても野菜の価格が高いですね。今まで私の立場としては、コロナ禍以降の生産資材価格上昇に比して、野菜の販売価格が上がらない農家の苦境を訴えてきたわけですが、現在キャベツの市場取引価格が、262円/kg 平年比332%(日農INDEX 2025.1月6日現在)ですから、小売価格は1玉500円前後となるでしょう。かつて1玉100円程度で売られていた時は、清涼飲料水より安いのかと憤慨を感じましたが、さすがに1玉500円以上では、生産者にも消費者にもマイナスに働くと危惧しています。一玉200円~300円、生産者の手取りは㎏100円なら双方折り合いがつくと思っていますが、市場は複雑ですね。

本年度の生育状況を振り返ると、猛暑とそれに続く高温・干ばつ・長雨で、9月から11月にかけての根張りが非常に悪かった上に、害虫の発生も非常に多く、例年の5分から6分作との声を聞きます。また契約栽培の生産者は、契約した数量を出荷できないのが何よりも歯がゆいとの声も聞きます。農家が高値を期待するのは事実ですが、それと同じ想いで、納得できる高品質生産物の豊作も願っています。

しかもこうした高値は一過性で長期の収入を保証するものではない上に、消費離れや輸入品の台頭を招くこともあり、長い目で見ればマイナス面も多々あります。お米の値段も一挙に上がりましたが、これも一過性の可能性もあり、高ければ高いで農家の心配は絶えません。

2025年は波乱の幕開けとなりましたが、短期の現象にとらわれることなく、農業の未来を見つめたいと念じています。