ブログ「社長のつぶやき」

2025.06.09 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

またあの猛暑の夏が来るのか?

前回のブログから、コメ問題は激変した。江藤大臣の失言辞職から小泉大臣が登場し、買戻し条件なし、しかも随意契約で、政府備蓄の古古米、古古古米が売り出されるとはだれが予想できただろうか。そもそも価格対策で備蓄米が「バナナのたたき売り」のごとく放出されるのは、本来の趣旨と相当かけ離れている。 今後「想定外」の大災害が起きた場合に、日本に食料はあるのかとまで心配になりますね。

お米への関心からすれば地味な話題ですが、冬場高かったキャベツも5月は大暴落、農業現場に何が起きているのか、私にもよくわかりません。

そしてまた夏が来る。子供の頃夏が来るのは楽しみでしかなかった。「もういーくつ寝ると夏休み」そんな気分でルンルンでした。ところが今は今年の夏も記録的な猛暑になるのではないか、しかもその影響は9月を超えて10月まで続くのではないかと憂鬱な気分です。大げさに言えば恐怖しかない。大騒ぎしているおコメの作柄も心配ですし、夏に播種、育苗する野菜たちが無事に育つのか、雨の降り方はどうか、狂暴化した台風が日本列島に上陸する可能性はどうか、会社に目を向ければ熱中症で倒れる社員は出ないだろうか、またまたその結果としての業績はどうなりそうか、心配事ばかりの夏を迎えます。地球温暖化は肌感覚としてじわじわ進行していることは間違いない。50年以上寿司屋を経営している大将も、魚の種類も変わり、旬の時期もわからなくなってきたとぼやいていた。ブログでは何度も書いたが、本来自給できるはずのお米を筆頭に、農業政策は不足よりも過剰生産による暴落を心配してきたが、もう時代が違うように感じます。

どんな凶暴な夏が来るかわからないので、意欲のある農業者には思いっきり作らせてあげたらどうか、そして知恵と工夫と努力が実った農家がやりがいを感じ、しかも儲かってくれれば、高齢化による農業の壊滅は必ず防げる。少子高齢化、後継者不足による高齢化は農業だけの話では決してない。仕事が楽しく、やりがいがあって、しかも高収入が期待できれば人は集まるはずだと思います。

2025.05.07 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

第59期経営計画発表にあたって

下記文章は2025年5月2日弊社の第59期経営計画発表会にて社員向けに発表されたものであり、「第59期経営計画書」に記載された内容です。
その全文を社長のつぶやきとしてHP上でも広く公開させていただきます。

代表取締役社長  川西 裕康


今年も第59期の経営計画発表ができることを、お客様、社員、仕入先、関係先様のおかげと心から感謝します。創業は1968年、日本経済の成長とともに、農業も高度成長・近代化の時代でした。時代は会社の成長を後押ししてくれました。しかし現在基幹的農業従事者の数は減少を続け、2023年は116万人、2040年にはさらに70%減、30万人を切る予測も出ています。マーケットは明らかに右肩下がりです。会社の繁栄と存続は簡単なものではありません。お客様、強いては社会から必要とされない限り、会社はいずれ淘汰されます。創業57年、そのこと自体に誇りを持ちながら、過去に感謝し、未来に向かって更に必要とされる会社を目指したいと心を新たにしています。

農業の未来は「スマート農業」を駆使した少数のエリート農家による寡占のみが正しい道とは思いません。様々な思いを持った人が門をたたくでしょう。「多様性」は重要なキーワードです。様々な動機で農業に取り組む人々に寄り添い、より役に立つ会社を目指したいと思います。「地球環境問題」ももう一つの大きなテーマです。しかし理想論が優先し、現場の農業者と利益相反となっては、元も子もありません。非常に狭い道ですが、2050年カーボンニュートラルに向けた技術開発・商品開発と情報提供ができる会社でなければ、今後の発展は期待できません。地域に支持され、全国に、強いては世界に必要とされる会社を目指します。

「農業の多様性を尊重し、農業の発展に尽くせる会社を目指す」この言葉を本年度の方針とします。

弊社は日本の園芸農業にとって、必要とされる会社になりたいと念願しています。地域密着を基本としながらも、お客様に役立つと思うサービスや商品、そして技術については全国展開を推進します。引き続きご鞭撻、そしてご支援、ご協力をお願い申し上げます。日本農業が輝きを取り戻すことに必要とされる会社を目指します。

2025.04.25 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

令和の米騒動その後は

まさに令和の米騒動、政府は備蓄米の放出を続けるが、4月のスーパーコメ平均価格5キロは4,214円、14週連続の値上がりです。すでに価格は昨年の倍以上、大規模火災をバケツで消火を図っているような感覚です。しかも1年後買戻し条項あり。ここにきて主要県では増産の動きあるが、時すでに遅し、お米の作付は田植えから始まるわけではない。種もみの播種はほぼ終わっているので、今からの増産の余地は極めて限られる。今もって政府は流通在庫があると言っているが、本当にないのが実態だろう。実は2~3年前からお米の供給不足(実需より少ない生産量)はささやかれていたが、昨年夏に一挙に顕在化した。減反時代、そして現在に至るまでお米の需給は見事にバランスをとって誘導したと自負している政府官僚の成功体験が大きいのだろう。今回の根本的な原因は供給不足、もっと言えば農林省が把握している生産額の見込みと実際の乖離が広がった結果、一気に供給不足が生じ、価格が跳ね上がったことは間違いない。農家も被害者だ。もう少し値上げしてほしいとは思っていたが、一挙に倍以上に跳ね上がればコメ離れがますます加速する可能性もあるし、トランプさんの餌食となって米国産の輸入拡大を迫られるだろうし、韓国やタイ、ベトナムからも緊急輸入の話も聞く。

しかし本当の問題はこれからだ。令和7年はよほど記録的な大豊作にならない限り「令和の米騒動」は続くだろうと予測します。問題はその後です。もし農林省が2023年以前の価格に戻そうとするならば、一部の合理化を徹底した大経営稲作経営体を除き、お米は作らなくなるだろう。供給不足は輸入米で代替するしかない。食糧安全保障上も大問題だ。超大規模経営体のお米を食べるか、いやいや一部の高所得階層はいくら高くとも国産有機米を望むかもしれない。米価の落ち着く先は本当にむずかしい。さらに言えば、日本の思想・哲学・文化の問題に行き着く。日本人はその時「国産米をどの程度支持するだろうか?」 日本の農村にお米が植えられた田んぼがあり、それを食することにどれだけの価値を認めるだろうか?それにはもちろん価格との相対関係も大きい。輸入米にはチャンスだ。しかし日本人がどの程度受け入れるのか、そして食糧安全保障を重視する国がどのような手に出るのか、今後2~3年は見ものです。我々農業関係業者にとっても大転換の時が訪れそうだと予感しています。

2025.04.07 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

トランプ関税の日本農業への影響は?

春4月、ソメイヨシノは例年並みに咲きましたが、少し不思議でもある。今年の春は梅の開花が遅れ、河津桜も遅れ、ハクモクレンの開花も遅れたのにソメイヨシノは大体例年通りの開花となっている。これも地球温暖化の一現象なのか、春が例年のようなステップを踏まず、時間を大幅に短縮して、ぎゅっと詰まったような感じだ。昨年秋、多くの人が暑い夏から短い秋を過ぎ一挙に冬が来たと感じたように、今年の春は短く、若葉の季節になれば一気に夏を感じる天候になるのだろうか?

弊社も4月に10人の新人を迎え、実質新年度入り、5月からは会計年度の変更になる。

それにしてもわからないことが二つある。一つはお米の値段の今後の推移だ。恐らく国は今の価格は高すぎ、2年前までの価格は安すぎで、その間に適正価格を落ち着かせようと思っているのだろうが、需給調整は容易ではない。このまま上がり続ければ間違いなく需要が減り、消費者も生産者も共倒れになる可能性がある。食糧安全保障政策を新たに施行した政府には大打撃となる。今までとは違うアイデアやアプローチを創造することはできないのだろうか。

もっとわからないのはトランプ関税の日本農業への影響と、実際の弊社の経済活動への影響だ。農業だけを見れば米国は相当困るのではないだろうか。中国への穀物輸出には高関税がかかり、輸入されるリン・カリ肥料は高関税をアメリカ農民が負担することになる。米国農民はそれでも長期を見据えてトランプ大統領を支持するのだろうか? 日本農業そしてそれを担う生産者・農民にも大きな転機が訪れていることは間違いない。

しかし残念ながら私も全く予測がつかなく、ぼちぼちこの老いた頭は、新しい頭脳に取り換える必要がありそうだと感じるこの頃です。

2025.03.05 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

農産物過剰から恒常的不足への予感

昨年改定された新農業基本法の最大の理念は「食糧安保」にある。平たく言えば自給率を向上させ、将来起こりうる食糧危機に際しても国民を安心させることだ。しかし、現場の危機感は「不足」よりも常に供給過剰による「暴落」だった。つまり作り過ぎを常に恐れていた。ところが2020年から3年続いたコロナ禍を経て、多くの農家は疲弊した。肥料・燃料・資材価格がどんどん上がるのに、販売価格は上がらない。離農を考えた人も多く、子供に跡を継げとはとても言えない。見えないところでかなりの担い手と優良農地が消滅した可能性がある。

2025年3月、お米の値段も主要野菜の相場もかなり高い。輸入業者にはチャンス到来だ。ただこれは単に「異常気象」のせいだろうか? かつて異常気象は「豊作貧乏」の予兆と捉えられていたが、今後は慢性的な国産農産物の不足が生じるサインになったのではないかと直感的に思う。

更に言えば、「環境にやさしい農業」・「スマート農業の推進」がより農家を苦しめている可能性がある。環境にやさしい農業はより労働強化につながるだろうし、スマート農業を実現する資材の価格は経済的に合わないレベルとみられている。私も具体的な回答は見いだせないが、少なくとも新農業基本法の理念は良くとも、それを担う現場の担い手は消耗している。多様な担い手の確保と、仮に作り過ぎても価格が担保される「米政策」に転換しない限り、「食糧安保」はおぼつかない。現場の農家にとっては、供給減圧力が強まることはむしろ好機であるが、それを国際価格基準で国がコントロールしようとすれば、ますます離農者は増えると思う。多様な価値観を持った農業生産者がやりがいをもって、生き生きと働ける未来がベストだ。

2025.02.03 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

令和の米騒動

お米の値段が高い。農業の中でも園芸分野はそれなりにわかるが、お米の需給関係については、知れば知るほど闇が深いように思う。日本農業と農家側に立てば、お米の値上がりは大歓迎だ。

そもそもお米は日本の主食なのか? 大半の日本人は即座にイエスと答えるでしょう。私の孫を見てもおにぎりは大好物、ランチ食堂に行けば多くの人はご飯の大盛を注文している。数量的には現在もお米の消費量がトップであるが、金額的にはすでにパン類や麺類を下回っている(総務庁 家計調査2022年より)。おそらく2024年度国民一人当たりのお米の消費量は、50㎏を割っていると推察される。近々のデータでは1962年度は118.3㎏、江戸時代の高級武士ならばもっと消費していただろうと思われる。

国家による減反政策は、2018年に終了したものの、その後も多用途米への補助金行政等によって、微妙にお米の生産量を調整しているのが実情です。国は、食糧米の過剰生産による「米価の暴落」を何よりも恐れ、毎年の需給見通しに合わせて生産量が一致するよう、阿吽の呼吸で調整を続けてきたが、今回その微妙な調整が破綻しかかっているということだろう。そもそも食糧安全保障上、自給率向上を謳っているのに、一方現場は「過剰生産」を恐れているというのだから、何という矛盾だろう。

農林省は、稲作生産者の2022年度10a当たり生産原価を128,932円とはじいているが、2023年まではほとんどの稲作農家がそれを下回る赤字で出荷している。遊休農地が増え、離農者が増えるのも当然です。「農民は生かさず、殺さず」は江戸時代の標語?のはずだが、現在もその思想は官の世界では生きていると思わざるを得ない。大雑把に言えば、昨年のように10a当たり20万円以上の収入が確保できれば、稲作農家も意欲が出てくるだろう。

ルールを変更しないと、今後需給バランスのブレはさらに増すだろう。そもそも今年の6月~8月を無事に乗り切れるかどうかも大変不安だが、政治の季節でもあり、どんな政策が打ち出されるのか見守るしかない。

2025.01.08 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

野菜 高すぎるのもまた心配

明けましておめでとうございます。今年の干支は「乙巳」(きのと・み)、平たく言えば蛇年です。正直私もヘビは苦手ですが、「脱皮を繰り返しながら力強く前進するたくましい生物」と解釈し、今年もこの姿勢を貫きたいと念願しています。本年もどうか宜しくお願いします。

それにしても野菜の価格が高いですね。今まで私の立場としては、コロナ禍以降の生産資材価格上昇に比して、野菜の販売価格が上がらない農家の苦境を訴えてきたわけですが、現在キャベツの市場取引価格が、262円/kg 平年比332%(日農INDEX 2025.1月6日現在)ですから、小売価格は1玉500円前後となるでしょう。かつて1玉100円程度で売られていた時は、清涼飲料水より安いのかと憤慨を感じましたが、さすがに1玉500円以上では、生産者にも消費者にもマイナスに働くと危惧しています。一玉200円~300円、生産者の手取りは㎏100円なら双方折り合いがつくと思っていますが、市場は複雑ですね。

本年度の生育状況を振り返ると、猛暑とそれに続く高温・干ばつ・長雨で、9月から11月にかけての根張りが非常に悪かった上に、害虫の発生も非常に多く、例年の5分から6分作との声を聞きます。また契約栽培の生産者は、契約した数量を出荷できないのが何よりも歯がゆいとの声も聞きます。農家が高値を期待するのは事実ですが、それと同じ想いで、納得できる高品質生産物の豊作も願っています。

しかもこうした高値は一過性で長期の収入を保証するものではない上に、消費離れや輸入品の台頭を招くこともあり、長い目で見ればマイナス面も多々あります。お米の値段も一挙に上がりましたが、これも一過性の可能性もあり、高ければ高いで農家の心配は絶えません。

2025年は波乱の幕開けとなりましたが、短期の現象にとらわれることなく、農業の未来を見つめたいと念じています。

2024.12.04 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

2024年の異変

今年も残すところ1か月。一地方の農業関係業者としては、全体が見えているわけではないが、将来の方向性はますます不安定となっている。予測を立てることが難しい。コロナ禍の3年間、農業者は苦難の日々でした。需要は下がる、生産コストは数十%単位で上がる(生産資材・燃料費の高騰、コロナによるひずみ、および戦争の影響が大きい)、しかも市場での取引価格はあまり変わらない。いよいよ離農と考えたプロ農家も数多くいたでしょう。

ところが2024年、予測外のことが次々起きた。典型的なのは、米価格の高騰でしょうが、園芸関係でも夏の猛暑による生育不良が主な要因と思われる生産量不足による野菜価格の高騰が続いている。一部の立派な農家はしっかり出荷物を確保し、例年より利益を上げていると思いますが、大半は生産量の減少で、必ずしも利益につながっていない。プロ農家の大半は、利益だけが重要な指標ではない。自分が納得できる生産物ができ、消費者および流通に関わる関係者に喜んでいただくことも、農業者の大きなやりがいだ。しかも今の高値は、一過性で長期的に見れば需要の減少、農業の凋落につながるのではないかと危惧する農家も多い。

また、夏から秋にかけてはカメムシやヨトウムシ等の農業害虫が異常発生し、殺虫剤の使用は大幅に増えていると聞く。国が推進する「みどりの食料システム戦略」とは逆の方向に進んでいる。また、多くの農家は有機農業に対しても、土地生産性や労働生産性の観点から懐疑的な見方が多い。実際雑草の多い水田や畑を見る度に、これを除草剤以外で解決する方法があるのだろうかと思う。除草剤が農民の悩みを解決したのは、紛れもない事実だ。

農業に関係する業者も、一時的に売り上げを伸ばしているかもしれないが、私の見解ではコロナ禍を過ぎ、それでも農業で頑張ると腰を据えた農家が、ためらっていた設備の更新や投資をやむなく実行に移しただけと思っている。長期的な観点からどのようにあるべきか、現場の農業者も、また農業にかかわる業者も岐路に立っている。ただ言えるのは、こういう時だからこそ、よりお客様に役立つ組織を目指すしかないということです。

2024.11.12 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

園芸農業のパラドックス

はや11月中旬、今年も秋が短く夏から一気に冬という気候だろうか。我々にとっては11月12月の青果物の市況がとても重要である。順調に出荷できれば、荷がダブつくことなく、正月明けもそれなりの価格で推移する可能性が高いからだ。

国は、2040年には基幹的農業者の数が40万人を切ると予測している。一方で、食料自給率の底上げや環境に優しい農業を推進する。もはやこれは成り立たないと諦めたほうが良いのではないか? 

農業に従事する人が加速度的に減るのだから、規模拡大、スマート農業の推進、データ駆動型農業(ICT)の実践などを盛んに言うのは理論上理にかなっている。しかし、特に施設園芸の場合、数ha規模のハウスを建てるとすれば、殆どはオランダを中心とするヨーロッパ技術の導入(はっきり言えば輸入)となる。もちろん日本の技術でも可能ではないかと思うが、あまりにマーケットが少なくコストパフォーマンスが合わない。むしろ今程度の規模で採算が合い、美味しく安全で、しかも環境に優しい農業にかじを切ったほうが良いのではないだろうか。多様な農家がいて多様な生産物がある、これを日本農業の強みにしてはどうか?

自給率や食料安全保障の観点から異論を言うのは国賊みたいに言われるが、食料自給率などは数字目標から外した方が良い。園芸はほぼカロリーを産まないし、畜産は作れば作るほど食料自給率は下がる。美味しく安心安全な日本農産物を世界に輸出することに本腰を入れたらどうだろうか。

生鮮食料品は、検疫等で多くの国で輸出できなくなっているが、これを取り払う交渉に全力を払うべきだ。高級日本酒がいくら売れても農家にはほとんどメリットはない。少々高くとも生鮮食料品がアジアを中心にもっと売れるようになれば、食料安全保障上も、多様性によるリスクヘッジ上も大きな価値がある。

2024.10.17 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

“なぜ日本では有機農業が増えないのか”私の仮説・推論

「なぜ日本では有機農業が増えないのか」これは素朴な疑問です。日本は四季豊かで「旬」を大切にする国です。また地球環境問題に関心の高い国民も多く、有機農業にも西欧諸国より理解がありそうな気がするのですが、現実は2020年基準でもヨーロッパは10%以上に対し、日本は0.3%程度にとどまっている。有機農業を志し、新規就農する人も多くが挫折、あるいは専業では生活が成り立たないのが現実のようだ。

そもそも何のために有機農業が奨励されるのか? 環境保全のためか、食の安心・安全のためか、国内資源の有効活用のためかなどいろいろあるが、そのすべてでしょう。ごく大雑把に言えば、有機農業を実践すれば、労力2倍、収量半分と言われる。差し引き現行農産物より4倍高く売れれば、ビジネスとして成り立つかもしれないが、現実は1.2倍程度、場合によっては「くずもの」として半値で取引される。

論点を変えますが、日本の治安は良いと思う外国人が多いのは、どうしてだろうと考えました。日本人は物を落としても拾った人が返してくれる、夜道を歩いていても突然強盗に襲われると怖がる人は少ない。これと同じように日本の農家が作った農産物は、敢えて違法な作り方はしてないだろう、まして毒など入っていないと信じられているからではないだろか?

国際的な認証制度取得の是非も問われるが、輸出を目指すのであれば認証を受けることは価値がある。買う人は作り手の正体がわからないので、認証がなければ危なくて買えない。つまり、作り手を信用しない前提で社会が成り立っている。ところが日本では、基本的に安全で、人々は信用できるという前提に立っているので、高価で形の悪い有機農産物を敢えて買う必要はないと思っている日本人が、大半なのではないかという仮説をたてました。

最近、日本人には「愛国心」がないと嘆く考え方の人もいますが、愛国心という難しい熟語を出さなくとも、自然に無意識に、日本が好きだと思っている日本人が多いだけではないかと思います。それを平和ボケという人もいますが、是非とも平和ボケで自然災害以外はリスクの少ない国で有り続けてほしいと私は思います。

話が飛躍し過ぎかもしれませんが、なぜ日本で有機農業が増えないかを考えるうちに、地球環境問題・戦争と平和・愛国心への考え方にまで発展してしまいました。