ブログ「社長のつぶやき」

2016.11.15 [ 社長のつぶやき | 日々のつぶやき ]

育種技術としてのゲノム編集について

皆さんこんにちは。

 先日ある人から「ゲノム編集」についての意見を求められましたが、何も知識を持っていませんでした。先方は種苗会社の社長だから当然詳しいだろうと思ったようです。恥ずかしい思いをしました。

 そこで素人なりに、少し勉強しました。
ゲノム編集とは、特別なDNA切断酵素を使って、膨大な遺伝情報の中から特定の遺伝子部分に狙いを定めて切断。遺伝子を破壊したり、新しい遺伝子を組み込む「編集」を行い、狙った通りの遺伝子を思い通りに書き換える技術だそうです。
これだけ聞くとさぞかし難易度の高い技術のようですが、クリスパー・キャス9という切断酵素の発見で、非常に現実的、身近な技術になっているとのことです。

 ゲノム編集によって多くの動植物の品種改良が従来の交雑や突然変異を待つ手法よりはるかに早く、狙った成果が得られる可能性が高くなりました。もちろん医療分野、ガン治療や遺伝性疾患にも素晴らしい効果が期待されています。この分野の研究は米国そして中国がかなり進んでいるようです。

 そこで最初の質問に戻るわけですが、ゲノム編集は遺伝子組み換え技術とどう違うのか、そしてその上で遺伝子組み換え作物には拒絶反応の強い日本においてゲノム編集作物は受け入れられるのかどうかというのが質問のポイントでした。
社会の受け入れが難しいとの理由で研究が遅滞するようだと、実用化技術において日本は大きく取り残されてしまう可能性が高い。すでに遺伝子組み換え技術は米国の独り勝ち状態です。

 ゲノム編集技術は、AIにも勝る21世紀技術革新の中心テーマになる可能性が高いと言われています。野菜や花卉の育種分野はマーケットが小さいので、遺伝子組み換えは倫理的にも経済的にも採算が合わないと言われていますが、ゲノム編集技術ははるかに抵コストで品種開発につながる可能性があります。世界の趨勢と倫理上の問題の間でこれからの大きな社会テーマになりそうです。
一種苗人としてこのテーマを注目する必要があると感じています。


社長